PGAツアー開催コースで多く目にする「TPC」ってなに?
2003年から2020年までPGAツアーの開催地として親しまれてきたTPCボストンが、今年は米国女子ツアー「FM選手権」の会場として復活した。タイガー・ウッズをはじめ、丸山茂樹や今田竜二、そして松山英樹など多くのトッププロに馴染みのあるコースでもある。
TPC(トーナメント・プレーヤーズ・クラブ)を冠したコースは、現在30ほどある。PGAツアーが運営、もしくはライセンス提供をしており、最も有名なのはPGAツアーの本部があるTPCソーグラス(スタジアムコース&ダイズ・バレーコース)だろう。
旗艦大会「プレーヤーズ選手権」の会場であるスタジアムコースにある浮島の17番グリーンはあまりにも有名。他にも、世界一の観客動員数を誇る「WMフェニックスオープン」を開催するTPCスコッツデールや、この8月に松山が優勝した「フェデックスセントジュード選手権」の会場TPCサウスウィンドなどがよく知られている。
ところで、1990年代にはTPCに2種類あったことをご存知だろうか? まだインターネットが普及しておらず、紙のメディアガイドが唯一の情報源だった遠い昔の話。当時はトーナメント・プレーヤーズ・コースとトーナメント・プレーヤーズ・クラブという違いがあった。
最初のTPCであるTPCソーグラスが完成した1980年ごろ、ツアーがコースの造成から携わったTPCをトーナメント・プレーヤーズ・コースと定めた。一方、造成からは関わらず、PGAツアーの基準に合致してライセンスを取得し、TPCを名乗るようになったコースをトーナメント・プレーヤーズ・クラブとしていた。
最近の例で言えば、コリン・モリカワが優勝した2020年「全米プロ」の会場であるTPCハーディングパークは、もともとはサンフランシスコの市営コースだったが、2010年にPGAツアーと契約を交わし、現在の名称に変更された(現在でも所有権はサンフランシスコ市)。
TPCの基準は、コースの難易度や戦略性の高さといった、ツアープロが試合をする上でプレーに直接関係のある要素だけではない。大勢のギャラリーを収容できる観戦スペース、コーポレートテントなどを設置するための用地、広く充実した練習場、十分なスペースの駐車場、さらにはTV中継用の資材置き場など、トーナメントを開催する上で必要になるさまざまな要素が満たされていることが重要になる。
FM選手権に来たあるキャディは言う。「今週はキャディの駐車場もクラブハウス近くにあるから楽だよ。普段の試合だと遠くの駐車場に車を停めて、シャトルバスに乗ってこなければいけないからね」
トーナメント開催のために造られたコースであることこそがTPCたる所以。 9月下旬の「クローガー・クイーンシティ選手権」もTPC(オハイオ州TPCリバーベンド)で開催される。(JJ田辺カメラマン)