2024年 パリ五輪

専用ナビアプリに電車無料乗り放題 意外と?快適なパリ五輪取材

2024/08/12 17:30
パラリンピックのシンボルが設置された凱旋門周辺を歩く人々

◇パリ五輪 女子 最終日(10日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇6374yd(パー72)

民泊サイトAirbnb(エアビーアンドビー)で借りたアパートから、Uberで会場のル・ゴルフ・ナショナルへ向かう。この2週間、毎日繰り返した15分間足らずの“通勤”だ。

しかし、女子ゴルフの最終日だったこの日は会場のかなり手前で行われている警備のセキュリティチェックに引っかかってしまった。取材に向かう記者とカメラマンではなく、Uberの運転手が…。免許証など身分証明書の提示を求められ、何やら押し問答。結局通してもらえず、その場で降りてコースに向かうことになった。

エッフェル塔周辺は規制が厳しく“歩道”も渋滞

もう徒歩でも10分ほどの位置とはいえ、男子の時にも同じことがあったばかり。スムーズに会場へたどり着けるかはドライバー次第…というより運任せに近い。

そんなアクシデントもあったが、大会期間中は意外と“快適”で驚いたところも少なくない。まず、世界最大のイベントだけあって、ボランティアを含めた運営に携わるスタッフの数がすさまじい(多すぎる気がしないでもない)。

エッフェル塔近くの仮設会場

“手厚い”サポートは2週前のフランス到着時から。飛行機を降りてバゲージクレームへ向かう途中にスタッフが待機しており、名前を告げると、手元のリストを見て照合している様子。荷物をピックアップする前に近くのカウンターへ向かうよう言われた。日本に送られてきた紙の認証カードをラミネートフィルムで挟み、30秒もかからず取材パスが手に入った。

到着ゲートを出てすぐの場所には、宿泊先などへの交通手段を教えてくれる別のスタッフ。「電車だと2時間くらいかかるから、タクシーかUberがおススメかな」。1時間ほどでアパートに着くことができた。

ベルサイユ宮殿の裏手に回れば馬術の会場がある

パリ中心部からは離れているといっても、コースとアパートの最寄り駅周辺では自転車のBMX、比較的近いベルサイユ宮殿のエリアで馬術といった競技も実施。武装した警察官の姿を見ない日はなく、駅構内を通過する全ての人に手荷物検査を実施することもあった。

男女同じコースで2週間。カメラマンの撮影に“変化”を加えたかったので、5日(月)の練習取材後にはパリ中心部へ向かった(決して観光ではありません…)。

ベルサイユ宮殿を築いたルイ14世の騎馬像

初めて行く場所でも、目的地を入力すれば公共交通機関を含めた複数ルートを教えてくれる専用アプリがとてつもなく便利だ。テニス会場でもあったローラン・ギャロス周辺まで来ると渋滞もすさまじかったが、五輪専用レーンを走れるシャトルなら心配無用。コースからメインプレスセンター(MPC)まで、メディアやボランティア用のシャトルを1回乗り継いで1時間ほどだった。

MPCは凱旋門のすぐ近くにあり、記者会見場や世界中のメディアの記者やカメラマンの作業スペースがある巨大施設。APやロイター、共同、時事といった通信社をはじめ、大量の記者、カメラマンを投入している媒体には専用ブースが設けられ、ここを基点に各種競技の取材に向かうらしい。

巨大施設内の複数フロアがメインプレスセンター

近場の取材ならレンタルサイクルも機動力があって便利なのだとか。アパートとコースを往復し続けたGDO取材陣と違い、毎日のように違う競技会場へ向かったり、1日のうちに複数会場をはしごしたりするケースもあると聞いた。ゴルフも男子の松山英樹と女子の山下美夢有がメダル争いに絡み、最終日だけ日本メディアの数は数倍に膨れ上がっていたが、取材を終えるとすぐ別の会場へ向かう人も少なくなかった。

パスと一緒にもらったものの、コース一択のゴルフ取材ではまず使う機会のなかったパリ市内の地下鉄や路面電車に無料で乗れるトラベルカードで凱旋門からエッフェル塔へ。ビーチバレー会場として仮設のスタジアムが作られていた周辺は規制が一段と厳しく、歩道が“渋滞”している状態。ゴルフの取材パスでは規制の前に“無力”で、動き回ることも難しかった。

世界中のメディアがここに集まる

メディアの取材が快適になっている一方、こうして会場近くでは規制によってパリ市民の日常生活がかなり不便になっていたことは容易に想像できる。わずか数時間の中心部滞在でも、そう実感した。(フランス・パリ/亀山泰宏)

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