山下美夢有は涙止まらず 悔やむ2つのジャッジ「今は何も考えられない」
◇パリ五輪 女子 最終日(10日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇6374yd(パー72)
取材陣が居並ぶミックスゾーンで気丈に対応を終えた山下美夢有は、日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長に奮闘をねぎらわれると涙が止まらなくなった。表彰台に1打及ばず4位。「やっぱりメダルを獲らないと。そこを目指して今週やってきたので。結果だけで見れば、あんまり良くはないと思います。ちょっと、今は何とも考えられないですね」と静かに言った。
2打差3位から出た最終日はピンそば3mに絡めた2番(パー3)でバーディ先行。早々に首位に並んだ。いずれもティショットをラフに入れた6番、7番とアプローチでこらえ切れずに2連続ボギーとしたが、8番(パー3)で2.5mにつけてバーディ。金メダルを視界に入れながらのプレーは、9番(パー5)でつまずいた。
左サイドに池があり、グリーン周りもタフなパー5。ティショットはこの日初めて、フェアウェイを捉えていた。グリーンを狙ったセカンドは左のラフへ。ボールを上げづらい前足下がりのライから、土手に当てて勢いを殺すアプローチではなく、浮かせてグリーンにキャリーしたが、ボールは反対側までこぼれた。4打目も寄せ切れずにオーバーすると、3パットが重なってダブルボギーを喫した。
「(セカンドを)刻む考えはなくて、狙える距離ではあったので、行ってしまった感じ。やっぱり狭いホールで、なかなかフェアウェイに置けていなかった。そこでしっかり刻んだ方がバーディを獲れるのかなっていうふうに3日間プレーしていたんですけど、最終日に少し欲が出てしまったのかな」
後半14番(パー5)からの2連続バーディで2位タイに浮上して迎えた16番(パー3)は、ひときわ悔しい結果になった。
オナーでのティショットは慎重に風を読んで8Iを握り、池に近いピンより左の広いエリアを狙ったが、キャリーが足りずに手前の枕木に当たって水しぶきを上げた。ドロップゾーンから4m弱につけたボギーパットも外し、「風ですね…。ひと番手上げておけばとは思いました。その辺のジャッジができておけば、ダボも2つ打たなかったのかな」
決めれば銅メダルを懸けたプレーオフとなる最終18番(パー5)のイーグルパットもカップをそれた。生命線のショットが勝負どころで微妙に乱れ、今週初のオーバーパーとなる「73」。4年後の2028年「ロサンゼルス五輪」でのリベンジに意欲をにじませつつ、まずは2週後の今季メジャー最終戦「AIG女子オープン」(全英女子、スコットランド・セントアンドリュース オールドコース)を見据える。
「やっぱりその(ロス五輪への)気持ちも強くなりましたし、まだメジャーもあるので、そこでしっかり結果を出せるように」。悔し涙を糧にリスタートを誓った。(フランス・ギュイヤンクール/亀山泰宏)