「いろいろありました」 渋野日向子が全米女子プロで望む“いい思い出”
◇女子メジャー第3戦◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 事前(19日)◇サハリーCC(ワシントン州)◇6731yd(パー72)
5年連続5度目の出場となる大会を振り返れば、「確かにいろいろありました。あんまりいい思い出がないから…」と苦笑いが漏れる。渋野日向子にとって「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」はさまざまなアクシデントと闘ってきたメジャーでもある。
コロナ禍で初参戦した2020年大会(58位)から始まり、21年(40位)は3日目に帯同キャディが新型コロナウイルスの陽性判定が出て急きょ交代。17番(パー3)で4度も池に落として「10」をたたいた。22年はカットライン上で予選を通過しながら、3日目のスタート前に体調不良で日米ツアー初の途中棄権。左手親指を痛め、テンフィンガーグリップに変更して2試合目だった前年は決勝ラウンドに進めなかった。
「いい思い出を作りたいですね」と願う舞台へ、3週前の「全米女子オープン」2位から上向いた流れで入れることは間違いない。「ショップライトクラシック」は初日11位から21位、前週「マイヤークラシック」は10位で折り返した後でスコアを落として41位だった。「まだまだ足りなさすぎる」という課題、意識も最終日まで戦い抜いてこそ見えてくる。苦しんだ今季序盤に比べれば、「もっと上のことに気付けると思える。(その意味で)この3週間はすごく大きい」とうなずく。
特に直近の試合は終盤にかけて蓄積する疲労、スコアを取り戻そうとはやる気持ちから、切り返しのタイミングが早くなって飛距離が落ち、ミスも重なった。「もともと、そういうクセはあった。そこでどれだけリズムよく(スイング)できるか。確実に耐えなきゃいけないコースではあるので、そこをしっかり、冷静にできるように」。ミスの傾向、それと連動するチェックポイントがシンプルになってきた感もにじむ。
コースはところどころ左右の林がせり出し、「日本でもなかなか見ない“狭さ”」と受けるプレッシャーは相当なもの。「この3週間くらいはドライバーがすごく頑張ってくれている。それでも狭いですよね。気持ちよく(振れるホール)はないし、難しいから、どんな感じになるか分からないですけど、どんだけ木に当たるか楽しみ」と冗談めかした言葉が出るのも、前に進めているから。
タフなメジャーで4日間を戦い切れば、また新たに得られるものがあるはず。「絶対にそう思います。何としても、頑張りたい」。いい思い出を刻むためにも、まずは予選ラウンドの戦いに集中力を高めた。(ワシントン州サマミッシュ/亀山泰宏)