「せっかくメジャーに来ている」 畑岡奈紗はパリ五輪切符争いより悲願に集中
◇女子メジャー第3戦◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 事前(18日)◇サハリーCC(ワシントン州)◇6731yd(パー72)
畑岡奈紗は悲願達成へ目の前のメジャーに全集中で臨む。2週前の「ショップライトLPGAクラシック」初日にボール捜索時間が規定の3分を超過していたことが、翌日になってから現場にいた米テレビ中継局リポーターの指摘で判明して失格となった。
翌週14日に「ルールの曖昧さ」、「違反の指摘と処分のタイミング」、「映像による検証」の3項目について声明を発表。この一件で浮き彫りとなったルールの問題点についての提言は、一緒にロープ内で戦うツアー仲間からSNS上で多くの支持が集まった。
4位発進から思わぬ失格となって初めての試合が、キャリア32試合目で初制覇を狙うメジャー。大会後の世界ランキングをもとに8月「パリ五輪」の日本代表争いが決着するタイミングでもある。
「せっかくメジャーに来ているのにオリンピックのことを意識してやっても…とは思うので。(代表は)この試合だけで決まるわけではなく、この3年くらい積み重ねてきたものだと思う。KPMGにしっかり集中してできれば」。これまで届きそうで届かなかった頂点。気もそぞろでチャンスをつかめるほど甘くないと分かっているから“雑念”を振り切る。
2017年に初メジャーとして挑んだ大会でもある全米女子プロは、18年のプレーオフ惜敗を含めて7度の出場で3度のトップ5フィニッシュをマーク。5大メジャーでは最も多い数字だ。「毎回新しいコースで(理由は)分からないですけど、なぜかいいですね」と笑うように、相性の良さはしっかりと感じているところ。「全米オープンとかは耐えて、耐えてというイメージがありますけど、KPMGはメジャーの中でも意外と伸ばし合いみたいな感じがどこのコースでも多いのかな」と理由の一端を分析する。
同じコースで行われた16年大会はアンダーパーがわずか7人というハードセッティングだった。ところどころ両サイドの高い木がせり出し、ティショットにもセカンドにも視覚的なプレッシャーを与えてくる“狭さ”を最大級に警戒しつつ、開幕前に降った雨の影響でミドルアイアンでも止めていける現在のグリーンコンディションはスコアを伸ばせそうな要素ではあるという。「チャンスにつけられれば、伸ばし合いっぽくなるのかな」と展開をにらんだ。(ワシントン州サマミッシュ/亀山泰宏)