「“次元”の違うゴルフができた」渋野日向子は清々しく2位惜敗
◇女子メジャー第2戦◇全米女子オープン presented by アライ 最終日(2日)◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583yd(パー70)
最終18番のセカンド地点、渋野日向子はグリーン上で“ウィニングパット”を沈めた笹生優花に向かって満面の笑みで手をたたいて祝福した。ホールアウト後のスコア提出所でも力いっぱいハグ。「届かなかった優勝でもないとは思いますけど、やっぱりユウカが強かった。3打差ついてますからね。でも、ユウカが勝って、すごく前向きな気持ちにさせてくれるというか、これで日本も盛り上がるんじゃないのかなって。すごくうれしい部分もあります」と仲良しの“妹分”をたたえた。
2打差4位で迎えたメジャーの最終日。「きのうの夜から吐きそうだった」と緊張感たっぷりのスタートは、前半3番で3パットボギーが先行した。ここまで安定していた1Wショットが、やや左に飛ぶ傾向。4番は左ラフから、ピンに向かって下り傾斜が残る奥に外し、今週初めて2連続ボギーをたたいた。
7番(パー5)でバーディを取り返しても、8番(パー3)で3パット。切れそうになるメンタルを必死につなぎとめたのは、最高峰の舞台の日曜日に好位置で戦えているという事実だった。「まず、この場に立てることが奇跡だなっていう風には感じていた。この位置で戦えているのが奇跡っていう風に思えたことが、すごく大きいことだったのかな」。2019年の「AIG女子オープン」(全英女子)優勝によって得られる5大メジャー出場権は今季まで。ここまで苦しんできたシーズンだからこそ、自分から崩れてムダにしたくなかった。
12番(パー3)では大きく左に打ち出した8m近いバーディパットが、ゆっくりと弧を描いてカップに消えるスーパーバーディ。笑顔で何度もこぶしを握った。「なんでここ(上位)に自分がいるんだろうみたいな感じではあった」と言いながら、リーダーボードのチェックは欠かさず。最後まで逆転のチャンスをうかがい続けて粘った「72」は、2位という結果と同じくらい価値がある。
「勝ちたかった気持ち、悔しい気持ちはありますけど、やりきった気持ちの方が強い。この何週間、この何カ月かな、これまでのゴルフとは、次元の違うゴルフができたなって感じるし、メンタル的にもすごく前向きだった」。胸を張って72ホールを戦い抜けたことが何よりうれしい。(ペンシルベニア州ランカスター/亀山泰宏)