“してやられてきた”全米で4大会ぶり予選通過 渋野日向子「ちょっと衝撃です」
◇女子メジャー第2戦◇全米女子オープン presented by アライ 2日目(31日)◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583yd(パー70)
折り返しの9番、渋野日向子が「きょうのベストショット」と胸を張る一打が出た。6Iを握り、少し抑えて打ったセカンドは右から傾斜で回す形でピン下にピタリ。難なく前半だけで3個目のバーディを奪った。
出だし3ホールで2度の3パットボギー。早々にガックリ来てもおかしくない状況でも「ショットが悪くなかったんで、切り替えることができた」。4番でバウンスバックを決め、7番(パー5)もティショットから納得のつなぎを見せ、ウェッジで仕留めるバーディ。「自分では昔からショットメーカーだと思っているというか、ショットでバーディを獲りたい。それが戻ってきた感覚は、最近の中では一番ある」と振り返る。
「めっちゃデカい」と笑顔でうなずいたのは、気持ちよく振り抜けている1Wショット。シャフトを以前使っていた藤倉コンポジットの「SPEEDER NX GREEN」に今週から差し替えたのは、自らのやりたいスイング、理想とする弾道とのマッチングを考えた結果だ。「先週まで使っていたシャフトは若干硬くて、自分が打ちたい右に出すドローっていうのが全然出ていなかった。いままで使っていた、ちょっと軟らかめの返ってくるような、シャフトを使って振れるような、ドローが打てるようなシャフトに戻そう、と」
アイアンのシャフトも藤倉コンポジットの「MCI」(80R)に回帰。自信を持って振っていけるから、フィニッシュもしっかりと決まる。「だって、今日(ティショットで)ラフに外したの、16番のスプーン(3W)だけですよ。狭いけどさ、刻んだ意味って…。ドライバーで打てば良かった」。自虐節すら手応えを物語る。
18番で喫した3つ目の3パットボギーは悔しいが、それでも「70」にまとめ、首位と5打差の通算1オーバー5位で予選を通過。「全米女子オープン」では優勝争いを演じた2020年大会以来の決勝進出となった。その事実に気づいて「ちょっと衝撃です、それは。たしかに全米はメチャクチャ“してやられてる感”というか、コースにやられている感じがあった」。驚きながら喜びがにじんだ。
「メッチャしんどかったけど、こうやっていいプレーができたから言えることかもしれないけど、先は長くないし、ここでいつまで戦えるかも分からない。大きい大会で、やれるだけやってやろう、と」。苦しみながら続けてきた試行錯誤は、大舞台で実を結びつつある。(ペンシルベニア州ランカスター/亀山泰宏)