メジャー直前に12本をチェンジ 稲見萌寧のプロ意識「稼がないと」
◇女子メジャー第1戦◇シェブロン選手権 事前(17日)◇ザ・クラブ at カールトンウッズ(テキサス州)◇6889yd(パー72)
メジャー初戦を前に、稲見萌寧がキャディバッグのクラブを大幅に入れ替えた。直近の「Tモバイル マッチプレー presented by MGM Rewards」で使用したセッティングから“残った”のは1Wとパターの2本のみ。新境地で生き抜くためにも、年間レースのポイントが高いメジャーは大事な一戦だからこそ、この決断に踏み切った。
日本を主戦場にしていた時から、「いいクラブがあれば差し替える」、心の底から納得してからスイッチするのが稲見のこだわり。用具契約をフリーにし、新作クラブがあっても前作の方が感触良ければそのまま使い続けることも少なくなかった。しかし、今回は「今のままではどうしても自分でどうにかできる感じではない」と道具の力に頼ることにした。
海の向こうでは風の具合も、芝質も違った。「日本のコースに合わせたセッティングだったから、こっちでは全然合わないなってすごく感じていた」と、対応に苦しんだシーズン序盤戦にモヤモヤしていた。「調子が悪いというよりは実力不足のような。わざとグリーンを外さないといけないという選択肢にも迫られていた」という。
フェアウェイウッド(3番、5番)とUT(3番、4番)の4本は、1Wと同シリーズのテーラーメイド「Qi10」にチェンジ。
アイアンはヘッド自体は「ミズノプロ 243」のままだが、打ち出し角の微調整を行い、スピン量を減らす工夫を凝らした。一番大きく変化したのはシャフトを「トゥルーテンパー スチールファイバー」から完全スチールの「日本シャフト NSプロ」に替え、アゲンストの風でも吹き上がらないような球を打てるようにしたことだ。
ウェッジもタイトリストの新作「VOKEY(ボーケイ)SM10」へ。48、52、58度だったロフト角を49度、54度、59度の3本に変えて作ってきた。
クラブは試合で試してみないと分からない部分はある。それでも、武器の交換は気持ちにも変化を呼び、「それで2、3yd変わるだけでも、だいぶ(攻め方は)変わる」と期待を寄せる。「海外の遠征はすごいお金がかかる。稼がないと撤退せざるを得ない。生きていけなくなっちゃう」とプロ根性をにじませた。(テキサス州ザ・ウッドランズ/石井操)