「集中力を自分の中に」ルーキー吉田優利が“動じず”初の予選通過
◇米国女子◇フォード選手権 presented by KCC 2日目(29日)◇セヴィールG&CC (アリゾナ州)◇6734yd(パー72)
最終18番(パー5)のグリーンには投光器に灯がともっていた。午後7時になるのを前に、吉田優利はパーパットを沈めてようやく笑顔になった。96位から6バーディ、1ボギーの「67」をマークして通算6アンダー52位。「結構苦しかったですけど、うまく回れた」。ルーキーイヤー2戦目で、ハイレベルなカットラインをくぐり抜けた。
風の強い午後の滑り出しは最高の出来だった。ピンそば2m以内につけた1番から3連続バーディを奪い、「攻めるホール、守るホールのメリハリをつけるプランに変更」できた。5m以内のバーディパットを決めきれずガマンが続いたその後も、チャンスをじっくり待つ姿勢を貫いた。
ハーフターンの際、決勝ラウンド進出ラインを「5アンダー」と確認。後半10番、球の処置に長い時間がかかった同組選手の様子にも動じず、淡々としていたようで、神経を研ぎ澄ませていたという。「(ラウンド中に他人と)話すのは自分のパフォーマンスのためだったり、気を紛らわせるためのものだったりする。そういうのを一切なくして、集中力を自分の中に留めるイメージだった」
昨年末の最終予選会(Qシリーズ)を通過してたどり着いた米ツアー。前週の「朴セリ選手権」に続いて2日でゲームを終えるわけにはいかない。
「楽しくゴルフをすること、話したり、いろいろ食べたりするのが好きなんですけど、『そういう時じゃない』と思うくらいきょうはすごく大事なラウンドだった」。選んだ策は功を奏す。394ydと長い11番、6Iでの2打目が奥に立つピンの右1mにピタリとつき、12番(パー5)までの2連続バーディで“安全圏”の6アンダーに。14番(パー3)のボギーの後、西日でラインが読みづらくなった15番できっちり2パットパーを拾い、16番のバーディに繋げた。
ひとつずつアンダーパーの数字を重ねながら、薄氷を踏む思いで予選を通過。「自分の位置づけでは、ずっと伸ばし続けなくてはいけない」と気は張ったままだ。「“シェブロン”に出たい」。週末は出場権が限定的な身としては、リシャッフル(出場優先順位の入れ替え)をクリアするため、そして目先のメジャー初戦「シェブロン選手権」(4月18日開幕/テキサス州ザ・クラブatカールストン・ウッズ)でプレーするための大事な2日間になる。
ターゲットは「今季ポイントランキング上位者」の資格。まだ獲得ポイントがない吉田は、今大会を限りなく上位で終える必要がある。「きょうよりもっと苦しいかもしれないですけど、ベストを尽くしたい」。ひと息つくのはまだ先だ。(アリゾナ州ギルバート/桂川洋一)