米国女子ツアー

宮里藍ら日本勢に高まる期待/2010年米国女子ツアープレビュー

2010/01/05 13:53

2010年度米国女子ツアー(LPGA)は、設立60周年を迎える記念イヤーとなる。2009年7月にC.ビベンズ氏がシーズン途中でコミッショナーを辞任することになり心配されたLPGAは、マイケル・ワン氏を1月から新しいコミッショナーを迎えて始動することになる。

2009年11月に発表になった2010年スケジュールは賞金対象試合が24試合。前年度と比べると4試合減、2年前と比べると10試合減となっている。最終的には韓国での試合を含めあと2試合ほど追加となる可能があるという。現時点ではアメリカでの試合は13、その他メキシコで3試合、アジア4カ国(日本、中国、タイ、シンガポール)や欧州(英国、フランス)とカナダ、ジャマイカでそれぞれ1試合開催となり、合計10カ国を訪れるスケジュールになっている。

2009年度のメジャー戦で一番注目を集めるのは、7月の「全米女子オープン」だろう。開催コースはペンシルバニア州にあるオークモントCC。過去8回の「全米オープン」、3度の「全米プロ選手権」が開催された名門コースで、1992年に一度「全米女子オープン」(パティー・シーハン優勝)が開催されている。また、これまで「マクドナルドLPGA チャンピオンシップ」だったメジャー競技は6月末に「LPGA チャンピオンシップ・プレゼンテッド バイ ウエグマンズ」と名称を変えて、ニューヨーク州西部にあるロチェスター郊外のローカスト・ヒルCCで開かれる。

ツアー15年間トップに君臨していたアニカ・ソレンスタムが2008年度限りでツアーから離れる事になったLPGAは、国際色豊かな戦国時代になっている。4年連続で年間最優秀選手(ロレックス プレーヤー・オブ・ザ・イヤーとベアートロフィー【年間平均ストローク賞】)を獲得しているロレーナ・オチョア(メキシコ)は3勝挙げることができたが、2006年から2008年までの活躍と比べると存在感が薄かった印象がある。2009年度の賞金女王と新人王となった申智愛もオチョアと同じ3勝を挙げていた。2010年シーズンも更なる活躍を見せることができれば、申がオチョアを抜いて世界ランク1位に君臨する可能性もあるだろう。他にもスーザン・ペターセンアンナ・ノルドクビストという北欧勢や、キム・インギョン、チェ・ナヨンという韓国勢に勢いを感じる。もちろん安定感のあるクリスティ・カーポーラ・クリーマーやミッシャル・ウィらアメリカ勢も複数優勝をするポテンシャルを秘めているので要注目だろう。

ツアー4年目で念願のツアー初優勝を挙げることができた宮里藍は、自己ベストとなる賞金ランク3位で2009年シーズンを終えた。世界ランクも8位に上昇した宮里は、2009年は全試合で予選通過という偉業も達成している。60台のスコアも増え、トップ10フィニッシュが13試合となっている宮里には、今年はメジャー大会制覇を期待したい。

賞金ランク80位までの選手が翌年のフルシード権を獲得できるLPGAツアー。上田桃子(33位)、宮里美香(49位)、大山志保(76位)の3人も2010年はツアーに参戦することになる。前年はキャディとのコミュニケーションでうまくいかなかった上田は15試合ほどの参戦になるということだが、何かきっかけを掴むことができれば日本ツアーで見せるようなパフォーマンスを残すことができるはず。

2010年の期待のルーキーは、下部ツアーの賞金女王としてレギュラーツアーへの昇格を果たしたミナ・ハリガエ。 カリフォルニア州モントレー出身で日系2世となるハリガエは20歳。ジュニア時代から数々のタイトルを獲得し、デューク大学を半年で中退してプロに転向。フューチャーズツアーでは16試合で優勝3回を含むトップ10が10回と安定した成績を残している。 また12月に行われた最終予選会でトップ合格を果たしたアマンダ・ブルメンハーストは身長175cmと大型の実力派の選手だ。全米女子アマのタイトルや全米大学(NCAA)の最優秀選手に3度選ばれた事もあり、すぐにLPGAの舞台でも成績を残すだろうとの評価が高く、既にIMGのスポーツエイジェントとNIKEとの契約が決まっている。