「先輩として」渋野日向子は米ツアー3年目 日本勢が9人に
◇米国女子◇ファーヒルズ朴セリ選手権 事前情報(20日)◇パロスバーデスGC (カリフォルニア州)◇6447yd(パー71)
最終ラウンドで「67」をマークし、17位で終えた前年大会は、喜べる思い出として頭に残っていない。
「良いゴルフをした記憶があまりないです」。一緒に海を渡ってきた仲間や、プロアマ戦のゲストに向けられるキラキラの笑顔は、ふとした瞬間に消えてしまう。ツアー3年目の序盤戦、渋野日向子は今ある自分と戦うのに必死だ。
アジアシリーズの2月「ホンダLPGAクラシック」(タイ)で新シーズンに入り、2週前に「ブルーベイLPGA」(中国)でプレーした。結果は69位と予選落ち。試行錯誤が続き、前週の一時帰国中にもこのオフから師事した辻村明志コーチのもとに向かった。
スイング中、以前よりもクラブをアップライトに動かそうとする様子が見て取れる。「(昔に)戻している感覚はないですけど、今までのスイングの良い部分は残しながら、全部を捨てるのではなく、新しいものを取り入れてプラスしていくっていう作業かなと思っていて」
進捗具合は「始めたときよりは…」。手応えが十分にあるとはまだ言えない。「やっぱり試合で結果を出してこそ自信になると思う。そこがなかなか難しい。練習でできていても、試合でできないと意味がないし」。一歩ずつでも、進んでいる実感が欲しくて仕方がない。
「予選通過を目標にしていると、下ばっかり見ちゃうのがすごく自分的には苦しいなとは思います。でも、やっぱり今はそこを見ている状況ではある。4日間、戦いたい」
ゲームを作るショットにはまだブラッシュアップが必要と痛感しつつも、目の前の一打を、18ホールのスコアメークを度外視しようとは思わない。「ショット(の出来に)関係なくグリーン上ではパターで戦えるし、アプローチもそう。やっぱり、グリーン周りは強気で頑張りたいなと思っています。そこは弱気になりたくない」。戦う術はきっとある。
今季、米女子ツアーを主戦場にする日本人選手は昨年から3人(稲見萌寧、西郷真央、吉田優利)加わり9人になり、今大会で初めて全員がそろった。
「私で言うと、(畑岡)奈紗ちゃんを筆頭に、その前は(宮里)藍さんから(先人が)アメリカツアーに日本人が行きやすいルートを作ってくれた感じがあった」とキャリアの転換期を振り返る。
「これからもっと増えるだろうし。まだ3年目だけど、一応先輩にはなるから。なかなか結果で良いところを見せるわけにはいかないですけど…、ちょっとでもやりやすい環境を先輩として作りたい」。後輩たちに見せたい背中がもっとある。(カリフォルニア州パロスバーデス・エステーツ/桂川洋一)