「プッチーン」にもめげず 渋野日向子が見せた“引き出し”
◇米国女子◇CMEグループ ツアー選手権 3日目(19日)◇ティブロンGC ゴールドコース(フロリダ州)◇6556yd(パー72)
前半6番(パー5)のバーディ先行で迎えた7番は350ydと短いパー4。バーディを狙っていきたいホールながら、渋野日向子はここまで2日連続でセカンドショットを引っ掛けていた。3日目は左サイドにピンが切られ、ニアサイドに外せばバンカーにつかまるリスクもある。スイング動作から“絶対に左には行かせない”という意思がにじんだ。
「ミスはしないように右に逃げて…」と苦笑いで表現したが、6mほどのバーディトライを残したセカンドはイメージ通りでもあった。クラブをしっかりと振り切れていない日は、振り切ることばかりを意識しがちで、スイングを調整するセーフティな攻めもおぼつかない傾向がある。「全体的にアイアンで悪すぎるミスはなかった」と言ったように、状態が悪くないからこその一打だった。
フォローの風を警戒してスイングが緩んだという10番で唯一のボギーを喫した。ラウンド後は「“プッチーン”でしたね。プッチンプリンでした」と笑わせたが、プレー中は自分に腹が立って仕方なかった。心にダメージを残していた12番(パー3)で大きく曲げるも、しぶとくパーを拾って上がり5ホールで3バーディ。「69」にまとめた。
「(10番の)怒りをバーディに変えられた」と冗談めかしつつ、ジャッジは冷静だった。17番(パー5)は花道からの3打目。土手を越えた後、ピンに向かって下るラインの寄せでパターを握り、バーディにつなげた。グリーン周りでもパターが選択肢に入ってきたのは10月「LPGAメディヒール選手権」を迎えたころのタイミングだ。
「その前から、ちょこちょこ(練習で)打ちよったけど、メディヒールは(周りの芝が)若干ペタペタな感じの砲台グリーンだったから、使ってみよう、と。ずっと(ウェッジの)アプローチでやってきたけど、一番ミスが少ないクラブを選ぶってなると、パターになることもある」。引き出しを増やす作業は、この試合中も続いている。「エッティ、きのうユーティリティで打ってましたよね?」。2日目のプレー映像で古江彩佳が4番ユーティリティを使って寄せた場面をしっかりチェックしていた。
通算2アンダー34位から臨む米ツアー初年度のラスト18ホール。「ホントに上を見るだけだから、攻めるところでしっかり攻め切っていけたら」。日々成長を遂げながら、ルーキーシーズンを走り抜く。(フロリダ州ネープルズ/亀山泰宏)