2022年 HSBC女子世界選手権

渋野日向子「やっとスタートラインに」 米ツアーメンバー初陣に決意

2022/03/02 18:27
渋野日向子が米ツアーメンバーとして初戦に臨む(Yong Teck Lim/Getty Images)

◇米国女子◇HSBC女子チャンピオンズ 事前情報(2日)◇セントーサGC(シンガポール)◇6749yd(パー72)

いまはまだ、「ここが私の主戦場」と胸を張って言えない。手元には“インサイドロープ”と刻まれたツアーカードがあっても、「まだこっちのメンバーになった実感はないんです」と渋野日向子は言う。「それでも、やっぱり去年こっちで頑張りたいと思ってきたことをかなえることができた。楽しみですし、やっとスタートラインに立てたと思う」。待ちに待った米ツアー本格参戦1年目の初戦に向かう緊張感は、期待が不安を上回る。

昨年12月にQシリーズをボーダーライン上で突破し、晴れてツアーメンバーになった。体づくりにスイングづくり、ウェッジショットの精度アップに力を注いだこのオフは、2月に新人選手を対象にしたセミナーにも参加した。コロナ禍でのオンライン講義は3日間で計9時間にも及ぶもの。「英語、読めん。大変でした」。普段とは違う汗もかきながら、身支度を整えてきた。

夢に描いてきたツアーの一員となっても、現在のステータスでは来季どころか、数週間先の行方もはっきりしない。今週、次週の「ホンダLPGAタイランド」は主催者推薦による参戦で、シーズンの大半は出場資格が巡ってくる限られた試合で好結果を残していく必要がある。「ぜんぶの試合に出られるわけじゃない」と地に足のついた姿勢は崩せない。

そんな厳しいサバイバルレースに足を踏み入れても、笑顔でいられるのは数年来、一貫したスイング改造に取り組み、コースマネジメント力を高めてきた実感があるから。“デビュー戦”になるのはくしくも前年、70人中67位と低迷した大会(予選カットなし)。硬いグリーン、長さが均一でないラフへの警戒心を持ちながら、「去年の今ごろよりは(ショットの)精度も上がってきていると自分でも思っている」と前向きだ。

そして何より、苦楽を共有してきた仲間、サポーターへの信頼感が渋野を強くさせる。「(自分が)アメリカに来られるのは周りの方が支援してくれているから。私は英語を話せない。マネジャーさんが通訳兼キャディもやってくれる。そういう方がいて挑戦できている」

目下の出場優先順位は低くとも、注目度は高いまま。初日はミンジー・リー(オーストラリア)、キム・セヨン(韓国)というメジャー女王3人の組に入った。「しっかり練習してきたことを最後までやり通したい。72ホール目、最後の瞬間まであきらめずに頑張りたい」。戦いの場所が、立場が変わっても、一打への熱量はそのままだ。

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