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紙一重の17番 稲見萌寧がつかんだ「奇跡のようなチャンス」

東京五輪 女子最終日(7日)◇霞ヶ関CC東コース(埼玉県)◇女子6648yd(パー71)

雷雲接近のために約50分の中断をはさんで再開した17番グリーン。最終組のネリー・コルダらがグリーン脇で見つめる中、「後ろの組も、全員バーディを獲ってくると思ったので、きっちり取らないとメダル圏内は難しいと思っていた」という稲見萌寧の4mのバーディパットは、真ん中からカップに消えた。

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「カップ周りは2人で『ちょっとフックが入るかな』と考えていたけど、(同じラインから先に打った)オーストラリアの選手(ハンナ・グリーン)のパットがまっすぐ抜けていった。あれが見られなかったら、入っていなかったと思う」とキャディを務めた奥嶋誠昭コーチが紙一重のバーディを振り返る。

この時点で、首位のコルダをとらえて通算17アンダーとした。迎えた18番は、前日4UTでグリーンをオーバーさせてボギーとしたホール。稲見は「昨日のセカンドが頭をよぎって、振り切れなかった」と今度はグリーン手前のバンカーに入れてしまう。

「『どうして振り切れなかったんだろう』って悔いは残ったけど、そこからしっかり状況をみて頑張ろうと思った」とすぐに切り替えた。球は砂に埋まって目玉状態だったものの、3打目でグリーンに乗せ、2パットのボギーでしのいだ。

最終組で回るコルダが、17番、18番をパーとして金メダルを確定させ、同じく通算16アンダーで並んだリディア・コー(ニュージーランド)とのプレーオフへ。稲見は「がっかりという気持ちは少なくて、プレーオフは勝率100%で来られているので、それを貫き通そうと思った。メダルは確定していたので、あとは勝つか負けるか。私の好きなリディア・コーさんとのプレーは楽しかった」と、18番でのプレーオフ1ホール目で、ボギーとしたコーに対し、パーセーブして銀メダルを勝ち取った。

最終日は6アンダー「65」。前半に2つ伸ばすと、後半は4連続を含む5バーディ(1ボギー)と加速した。「スタート前にちょっと、右の背中が痛くて、呼吸がしにくかったりした。スタート直前にほぐしてもらって、前半はうまくいかなかったけど、後半にパターがかみ合ってくれた」と流れに乗った。

コロナ禍でオリンピックが1年延期されたことでつかんだ出場権。「まず、出場できたことが自分の中では奇跡」という。だが、その奇跡のようなチャンスをつかみ、日本人ゴルファー初のメダル獲得をもたらした。

稲見の銀メダル獲得は、日本のゴルフ界にどんな変化をもたらすだろう? 現時点で海外ツアー参戦の意思はなく「とりあえず日本でずっと頑張って、永久シード(ツアー30勝)を獲るのが一番の目標。コロナのこういう状況じゃなければ、単発でメジャーとかに出させてもらえたら出たい」という。

「自分で実感はないけれど、日本開催で、日本人がメダルを獲ったことで、これからゴルフを始める人や、私もプロになりたいというジュニアたちが増えてくれるとうれしい」とチームジャパンのオレンジ色のジャージに身を包み、白い歯を見せた。日本のゴルフ界にまた、新たな歴史が加わった。(埼玉県川越市/今岡涼太)

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