2021年 全米女子プロ

「ゴルフ人生変わる」締めの2ホール 渋野日向子はバーディ、イーグルで予選突破

2021/06/26 09:21
18番でイーグルパットを決めてガッツポーズ

◇米国女子メジャー◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 2日目(25日)◇アトランタアスレチッククラブ・ハイランズC(ジョージア州)◇6831yd(パー72)

ホールアウトした渋野日向子の手が、小刻みに震えていた。4オーバー93位から出た2日目に1イーグル2バーディ、2ボギーの「70」で通算2オーバー57位として予選を突破。16番をボギーとしたあと、17番(パー3)でバーディ、18番(パー5)でイーグルを奪い、劇的にカットラインに滑り込んだ。

直近のメジャー2大会はいずれも1打差で予選落ち。「マジで良かったです。泣くかと思った」と3度目の雪辱に成功。この日の18ホールは、3カ月の米ツアー挑戦を象徴するような波乱万丈の展開だった。

ガードバンカーから寄せきれずにボギーとした1番以降、8番までパーが並んだ。迎えた9番、1Wショットを右バンカーに入れると、2打目もグリーン手前のバンカーへ。そこからピン上1.5mにつけてパーセーブ。「9番のパーパットが入ってから、すごくスムーズに打てるようになってきた。1個入ると変わってくる感じがあった」とパッティングに好感触を得て、後半へと折り返した。

18番でティショットを放つ

1つ目のドラマは12番(パー5)。レイアップ後の3打目はピンまで88yd。つま先下がりのライからダフらせて、手前の池に落としてしまう。だが、「結構悔しかったけど、イライラしている暇もなかった」と、すぐ横のドロップゾーンから同じく88ydを52度のウェッジで打つと、ピン奥の傾斜を伝ってコロコロと戻ってきて、カップにぽとり。このピンチをチップインパーで切り抜けた。

Par was never in doubt!💥😂

Hinako Shibuno holes out from the drop zone to save par in style#KPMGWomensPGA pic.twitter.com/7Yn8oPHnhy

— LPGA (@LPGA) 2021年6月25日

直後の13番でバーディを奪い、スタート時の通算4オーバーにスコアを戻す。その時点でカットラインの想定は3オーバー。だが、16番で「(フェアウェイの)めちゃくちゃ良いライからダフってしまった」と手前のガードバンカーに打ち込んでボギーとし、通算5オーバーへ後退。「シュンとしたけど、まだバーディ、バーディならチャンスはあると思っていた」と、残り2ホールに勝負をかけた。

イーグルパットを決めた後に腕をさすっていたのは緊張していたからだそうです

「嫌いなホールじゃない」という17番(パー3)は実測161yd。6Iでピン右1.5mにつけて、すぐにバウンスバックを決める。続く18番(パー5)は、ティが前に出されて462ydの設定。渋野は1Wを振り抜いて、フェアウェイをキープした。

グリーン手前に池が広がり、エッジまでは206yd。渋野は練習ラウンドのときから、たとえティが前に出されても刻もうと決めていて、一度も2オンを狙ったことはない。だが、「こうなったらもう狙うしかない」と2オン狙いを決断。「緊張したので、深呼吸をしまくった」という第2打は、3Wを“マン振り”すると、フォローの風にも助けられて208yd地点に着弾してピン右8mに2オン成功。「まあまあフックで若干下り、芝目もあった」というイーグルパットも「緊張していたので、距離感どころじゃなかった」と、強めにカップ真ん中からねじ込んで、右手で大きくガッツポーズ。笑顔がはじけた。

Hinako Shibuno drains a 𝒄𝒍𝒖𝒕𝒄𝒉 eagle to stay at the cut line.

Tune in --> @GolfChannel
#KPMGWomensPGA pic.twitter.com/07PFb44pEv

— KPMG Women's PGA Championship (@KPMGWomensPGA) 2021年6月25日

「メジャーでは一打の重みを感じることが多過ぎて…。やっぱり最後まで諦めちゃダメだなっていうのは、今日はすごく感じられました。たぶん、これからのゴルフ人生もこの2ホールで変わってくるかなって思います」

3カ月に及んだ米ツアー挑戦の最終戦で「東京五輪」の代表争いも今大会がラストチャンス。渋野が逆転する可能性はまだ消えなかった。「あしたがあるのがすごくうれしい」と、いまにも泣き出しそうな顔で、満面の笑みを作った。(ジョージア州ジョンズクリーク/今岡涼太)

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