「ゴルフ人生変わる」締めの2ホール 渋野日向子はバーディ、イーグルで予選突破
◇米国女子メジャー◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 2日目(25日)◇アトランタアスレチッククラブ・ハイランズC(ジョージア州)◇6831yd(パー72)
ホールアウトした渋野日向子の手が、小刻みに震えていた。4オーバー93位から出た2日目に1イーグル2バーディ、2ボギーの「70」で通算2オーバー57位として予選を突破。16番をボギーとしたあと、17番(パー3)でバーディ、18番(パー5)でイーグルを奪い、劇的にカットラインに滑り込んだ。
直近のメジャー2大会はいずれも1打差で予選落ち。「マジで良かったです。泣くかと思った」と3度目の雪辱に成功。この日の18ホールは、3カ月の米ツアー挑戦を象徴するような波乱万丈の展開だった。
ガードバンカーから寄せきれずにボギーとした1番以降、8番までパーが並んだ。迎えた9番、1Wショットを右バンカーに入れると、2打目もグリーン手前のバンカーへ。そこからピン上1.5mにつけてパーセーブ。「9番のパーパットが入ってから、すごくスムーズに打てるようになってきた。1個入ると変わってくる感じがあった」とパッティングに好感触を得て、後半へと折り返した。
1つ目のドラマは12番(パー5)。レイアップ後の3打目はピンまで88yd。つま先下がりのライからダフらせて、手前の池に落としてしまう。だが、「結構悔しかったけど、イライラしている暇もなかった」と、すぐ横のドロップゾーンから同じく88ydを52度のウェッジで打つと、ピン奥の傾斜を伝ってコロコロと戻ってきて、カップにぽとり。このピンチをチップインパーで切り抜けた。
Par was never in doubt!💥😂
— LPGA (@LPGA) 2021年6月25日
Hinako Shibuno holes out from the drop zone to save par in style#KPMGWomensPGA pic.twitter.com/7Yn8oPHnhy
直後の13番でバーディを奪い、スタート時の通算4オーバーにスコアを戻す。その時点でカットラインの想定は3オーバー。だが、16番で「(フェアウェイの)めちゃくちゃ良いライからダフってしまった」と手前のガードバンカーに打ち込んでボギーとし、通算5オーバーへ後退。「シュンとしたけど、まだバーディ、バーディならチャンスはあると思っていた」と、残り2ホールに勝負をかけた。
「嫌いなホールじゃない」という17番(パー3)は実測161yd。6Iでピン右1.5mにつけて、すぐにバウンスバックを決める。続く18番(パー5)は、ティが前に出されて462ydの設定。渋野は1Wを振り抜いて、フェアウェイをキープした。
グリーン手前に池が広がり、エッジまでは206yd。渋野は練習ラウンドのときから、たとえティが前に出されても刻もうと決めていて、一度も2オンを狙ったことはない。だが、「こうなったらもう狙うしかない」と2オン狙いを決断。「緊張したので、深呼吸をしまくった」という第2打は、3Wを“マン振り”すると、フォローの風にも助けられて208yd地点に着弾してピン右8mに2オン成功。「まあまあフックで若干下り、芝目もあった」というイーグルパットも「緊張していたので、距離感どころじゃなかった」と、強めにカップ真ん中からねじ込んで、右手で大きくガッツポーズ。笑顔がはじけた。
Hinako Shibuno drains a 𝒄𝒍𝒖𝒕𝒄𝒉 eagle to stay at the cut line.
— KPMG Women's PGA Championship (@KPMGWomensPGA) 2021年6月25日
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「メジャーでは一打の重みを感じることが多過ぎて…。やっぱり最後まで諦めちゃダメだなっていうのは、今日はすごく感じられました。たぶん、これからのゴルフ人生もこの2ホールで変わってくるかなって思います」
3カ月に及んだ米ツアー挑戦の最終戦で「東京五輪」の代表争いも今大会がラストチャンス。渋野が逆転する可能性はまだ消えなかった。「あしたがあるのがすごくうれしい」と、いまにも泣き出しそうな顔で、満面の笑みを作った。(ジョージア州ジョンズクリーク/今岡涼太)