「がんばらんといけん」渋野日向子は16位で最終日へ
◇米国女子◇ピュアシルク選手権 3日目(22日)◇キングスミルリゾート(バージニア州)◇6445yd(パー71)
前日、宿舎に戻ったのは午後8時過ぎ。第3ラウンドのスタートまで約12時間という短い時間に渋野日向子は一変した。「眠いっす」と苦笑いを浮かべながら、午前8時9分の第1組でティオフすると、1イーグル7バーディ、2ボギーで米ツアー自己ベストとなる7アンダー「64」。15番(パー5)、18番はティが前に出されたムービングデ―の設定を生かし、首位と6打差、通算4アンダー16位へと駆け上がった。
風もなく、グリーンも軟らかさの残る好条件。そこに、予選突破してプレッシャーから解放された渋野のゴルフがかみ合った。1番こそボギー発進としたものの、3番(パー5)の3打目はウェッジでスピンを効かせてピンそばにピタリと止め、続く4番は1mを沈める連続バーディ。
7番(パー5)から2連続バーディで迎えた9番は、2打目が残り188ydのアゲンスト。「ユーティリティだと手前が見えちゃったので、5Wで抑えて打った。完璧だった」とピンをかすめて上2.5mにつける自画自賛のベストショットで3連続バーディとした。
見せ場はそれだけにとどまらない。2打目をグリーン手前20ydまで運んだ15番(パー5)は、58度のウェッジで直接沈めるチップインイーグルに「びっくりしました」と目を丸くした。「正直、狙った落とし所と全く違って飛び過ぎたけど、良い感じでスピンが入って、あー入っちゃったみたいな(笑)。結果的に良かったです」と運も味方に。
さらに、1オン狙いも可能な設定にされた18番(260yd/パー4)は、「きょう頑張ったから、(左の)池でもいいかなと気楽に打った」1Wで、注文通り1オンに成功して2パットの楽々バーディで締めくくった。
「昨日までの自分とは全然違って、自分でもよく分からないなって思いながらやっていました」と笑顔の渋野。「この3日間で一番縦距離も合っていたと思うし、自分が思うようなショットを打てる回数は多かった」とうれしそうにうなずいた。
「だいぶ、ダフリが少なくなってきたかな!」と胸を張った(?)が、「右ピンや、右が崖や池になっているときに、プレッシャーに負けてミスショットをしてしまう。まだまだこれから」と、目指すスイングの完成は道半ば。
来季の米ツアー出場権獲得に向けたポイント加算も気になるが、その『欲』と『今やるべきこと』の折り合いをつけるのも目下の課題だ。「そうだわー。ちょっとがんばらんといけんわー」と、とぼけるように笑ったが、最終日のプレッシャーも“渋野らしく”乗り越えていく。(バージニア州ウィリアムズバーグ/今岡涼太)