「病んでました」渋野日向子は救いのイーグル締めでメジャーへ
◇米国女子◇ショップライトLPGAクラシックby Acer 最終日(4日)◇シービュー・ア・ドルチェホテル(ニュージャージー州)◇6190yd(パー71)
後半に強い渋野日向子が、最後の最後で本領を発揮した。1つ落として迎えた後半16番、残り118ydのセカンドショットを9Iで突っ込んだ。短いバーディパットを外した直後、17番(パー3)ではピッチングウェッジのベタピンショットでカップのフチを“破壊”。会心のバーディを奪った。
最終18番(パー5)はティイングエリアが前に出され、風もフォロー。「絶対に2オンしてバーディ」と自らに課したノルマどころか、1W、5UTと完璧なつなぎでピン下1mにつけるスーパーイーグルで締めくくった。「4日間で何回も外している(ショートパットの)距離だったので、すごく緊張したけど、最後は自分を信じて打てて良かった。(上がりで)本当に救われましたよね」と実感がこもった。
「残り3ホールまでは、かなり病んでました」と苦笑交じりに振り返る。1番からバーディパットがショート。2番もセカンドでチャンスに絡めながら決めきれない。3番(パー5)では2オンに成功したが、長いイーグルパットが3m以上オーバーした。返しのバーディパットはカップに届かず「『逆だよ』って。思ったより結構(ファーストパットが)行ったのはあるんですけど、もうちょっとマシなパッティングができるよねって。“萎えまくり”ました」。ポアナ芝のグリーンで再び距離感に悩まされ、マイナスの感情を消化するのに必死だった。
怒涛(どとう)の上がりで、通算6アンダーの27位。「(最後のプレーを)いや、もうできるなら最初からやりたいんですけどね。それができないのがゴルフなんですけど…」と口をとがらせつつ、次週のメジャー「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」へつながるフィニッシュ。「残り3ホールの攻めの気持ちを忘れず、メジャーではもっともっと自分らしいゴルフができたら」と誓う。
2カ月に及ぶ長期海外転戦の「集大成」と位置付けるが、メジャーへの特別な意識はないという。「(コロナ禍で)Qスクールもなくなってしまって、私が(すぐに)アメリカツアーに出るためには優勝するしかない。メジャーも大事ですし、まだまだ実力不足過ぎて、今回はそこまで思えなかったですけど、出していただける試合を一生懸命戦って、優勝すればアメリカツアーにも行ける。(その気持ちはどの試合でも)変わらないですね」。謙虚な心に野望を秘め、大舞台に乗り込む。(ニュージャージー州ギャロウェイ/亀山泰宏)