ツアープレーヤーたちのマイブーム<宮里聖志>
いま、ハマっているのはダーツと、左打ちのラウンドだ。昨年オフに、すっかり味をしめた。ドライバーからパターまで、すべて左で競い合う弟・宮里優作との初ラウンドは、昨年のちょうど今頃。わざわざ左用クラブを手に入れて、四苦八苦しながらも101で回った。2回目はどうにか100を切って98。さらに98と続いて、このオフは94であがることができた。「とにかく思い通りにいかなくて、それがまた面白い」という。
ただ無邪気に変則ゲームを楽しんでいるだけのようにも見えるが、それだけでもない。「普通に右で回っているときより、スイングのおさらいが出来る」と、宮里聖志は利点をあげる。「右打ちなら構えたら、もうな~んも考えずにスイング出来るのに、左だとひとつひとつの動作を頭の中で整理して、おさらいしながら打たないといけないでしょう。それがスイングを見直すのに良いみたいなんです。じっくりと丁寧にショットするようになるし、その課程で忘れていたことも思い出せる」という。
オフ調整の合間のささやかな楽しみ。例年は海外にも足を伸ばしたりしていたが、今年はもっぱら地元・沖縄に腰を落ち着けている。誰よりも“愛しい人”がいるから、離れがたいのだ。昨年、生まれたばかりの長女そらちゃんだ。ゴルフ以外の時間は、子育てに専念。家族と過ごす時間を第一にこのオフを過ごしている。お風呂に入れてやるなどしながら、ますます高まっていくのは「この子のためにも頑張らねば」という思いだという。一家の長としての自覚が、何よりの発奮材料にもなる。
昨シーズンは、秋までシード権の確保を引っ張って、しんどい思いをした。特に後半戦は、弟と競い合うことで不振脱却をはかった。コースで優作の姿を見かけるたびに、お互い指で自身のスコアを遠目から示し、励みにした。優勝争いをしているときは、互いに一番の応援団になるというが「それ以外は“優作、ボギー打て~!”って。回りながら心の中で祈ったりして(笑)」。弟より、1打でも少なくあがれるよう躍起になる。そんなライバル心が、刺激になった。
昨年は、聖志が賞金ランク32位、優作が33位。弟を1ランク上回ったことが、苦しかった1年の兄のささやかな喜びとなった。「苦しみながらも、スコアをまとめていく自信もついた」という聖志。「今年ももちろん、ツアー2勝目が目標だけど、気負わずがっつかずにやっていく。そしてもちろん、今年も優作に勝つ!」。右打ちでも左でも、お兄ちゃんにとってはいつだって、弟が一番のライバル…!?