ツアープレーヤーたちのカミングアウト<佐藤信人>
オフシーズンの今は開幕に向けて、そろそろ始動といきたいところだが、いまはその気持ちをグっと堪えている。
“ドクターストップ”がかかっているからだ。
「・・・ハハハ。まあ、まったくクラブを振っちゃダメってほど深刻な症状じゃあないんですけどね。しばらくは、イキまないほうが良いだろうと言われまして…」と、照れ笑いで打ち明けたこの佐藤信人のコメントに、カンの良い方はもうお察しだろう。
目下、佐藤を悩ませているものは、何を隠そう痔だ。
「正月にやっちゃいました。まさに“おめでとう”って感じで、出てきちゃった」と苦笑した。
「幸い、それほどひどくならず、何もしていないときは全然痛まないんですけどね。やっぱりスイングでイキんだりするとあっという間に飛び出ちゃいますから。お医者さんには、当分、ゴルフは控えたらとは言われてます」。
いまや国民の3人に1人は痔主といわれるが、ちょうどそんな会話を交わしていたメンバーが佐藤本人を入れて3人だった。
まず、自分自身を指しながら「いち、に、さん・・・。ほらね、こうして喋ってる3人のうちの1人の僕が痔持ちでしょ。あながち、統計は間違いじゃないってことなんですよ」と、あっけらかんと笑った表情は、思いのほか明るかった。
2005年に欧州ツアーのシード権を得たもののパッティングのイップスに悩み、シーズン途中に撤退を余儀なくされた。以来、持病の腰痛の悪化も重なって低迷が続いており、昨年はランク80位まで落ちて、賞金ランキングによるシード権さえ得られなかった。
「精神的な部分も大きい」と、2000年に立ち上げてから6年間続けてきたホームページも昨シーズン限りで打ち切ってしまったが、本来なら隠したくなる“痔病”を新年早々に笑顔でカミングアウトしてしまうことから見ても、かなり吹っ切れた様子が伺える。
2007年はもちろん復活に向けて本腰を入れることになるが、「とにかく、先に痔を治します」と、すっかり肩の抜けた表情に、明るい兆しが見えてくるようだった。