ツアープレーヤーたちのマイブーム<伊澤利光>
いま、男子ツアーには「サウナ同好会」がある。メンバーは、伊澤利光と井戸木鴻樹とジャンボ尾崎のエースキャディの佐野木計至さんと、高橋竜彦の計4人。遠征先の健康ランドで良く顔を合わすうちに自然と連帯感が生まれた。互いに、もっとも効率的な利用法を研究し、伝授しあうなど会の活動はなかなか活発だ。
一番、新しい会員は伊澤。以前は、あまり好きではなかったが、高橋に入り方を教えてもらううちに、すっかりハマってしまったという。メンバーの中でも「ダントツでサウナに詳しい」という高橋に、さっそくその極意を聞いてみた。
「まず、もっとも良いのは石のサウナです」と、高橋はおごそかに切り出した。そして、とうとうと語り始めた。「最初は、7分ほど我慢して、いったん出たら、すぐに水風呂に浸かります。温度は17℃前後が最適です。20℃はぬるすぎる。しかし逆に15℃以下では、冷たすぎてダメ。あくまでも16℃から 18℃。この微妙な温度差であとの気持ちよさが決まるといっても過言ではありません」。
なんでも高橋は、全国各地のサウナを利用するうちに、足先をちょっとつけただけで水風呂の温度が分かるようになったという。「あ・・・これは20℃はあるな、とかですね。水風呂の温度加減で、その店の管理体制がだいたい分かります」と、もっともらしくのたまった。
さて、水風呂から上がったら、忘れてはならないのが水分補給だ。「サウナで汗をかいて、血がドロドロになっています。いったん外に出て、しっかりと体の水滴を拭いてから、必ず水を飲んでください。そしてしばらく休憩。この手順を3、4回繰り返します」と、ひととおり説明し終えた高橋は最後に注意を促した。
「あまり調子に乗ると、一気に足に来ます。やりすぎると、無自覚のうちに体力が奪われて、風呂場で転倒・・・なんて危険もあります。ただでさえ、汗をかいている夏場は特に要注意。今日はちょっとしんどいな、というときはサウナは控えてください。なんでもほどほどが肝心です」と、締めくくった。
サウナでリフレッシュした夜は、気持ちよい眠りが得られるという。疲れも取れて、さわやかな朝が迎えられる。戦う意欲がわいてくるという。伊澤もそうだった。あまり気乗りしない伊澤を、専属キャディでマネージャーの前村直昭さんが、なかば強制的に連れていったのが昨年11月。
「熱いのが我慢できないんだよな」とブツブツ言っていたのに、今や福岡県飯塚市にある自宅近くの健康ランドでお得な回数券を購入して通い詰めるほどだ。大好きだったパチンコも、サウナを始めてからは見向きもしなくなった。日本プロで1年半ぶりの優勝をあげたときに、その秘訣を聞かれて「サウナです」と、躊躇なく答えていた。
その翌週には、あやかって早速サウナで汗を流したという選手もいたくらいだ。オーソドックスな健康法だがツアーでは、いま改めてサウナブームがジワジワと広がりを見せている。