ツアープレーヤーたちの“副業”<小山内護>
今週、男子ツアーは1週間のオープンウィーク。しかし、小山内護に休暇はない。大事な仕事がある。3日に栃木県のファイブエイトゴルフクラブで開幕するチャレンジトーナメント「PAR 72 チャレンジカップ」でバッグを担ぐ。“ボス”は同期の髙橋朋載 (とものり)。研修生時代からの大親友との約束を、10年越しに果たす。
あれは、小山内が一足お先にプロ転向を果たした96年。優越感から、わざと憎まれ口をたたいて言った。
「おいトモ! お前は、一生プロになれないんじゃないか?」。
「いいや、絶対になる」と、強い口調で髙橋が言い返した。
「そんなに言うなら、やってみろよ。本当にプロになれたら、そのときは俺がお前のバッグを担いでやるよ」。
たわむれに言った言葉を髙橋はちゃんと覚えていた。
スケジュールをチェックして、今週はちょうどツアーが休みと分かるなり、勝手に小山内の名前を書いて、早々とキャディ登録をしてしまった。
そこまでされては、もう逃げられない。
「意外と物覚えが良かったんだね、アイツも」と、観念して苦笑い。
「こうなったら、俺が優勝させて、来年のシード権を取らしてやりたい」とがぜん、やる気を出している。
“キャディ業”は2003年の日本女子オープンで、妹の優代さんをアシストして以来となる。
もっとも当時は、優代さんはまだアマチュアだった。初のツアー参戦で右も左も分からない時期だっただけに「とにかく、俺に全部任せとけ」と胸をたたき、歩測からクラブ選び、グリーンの読みなどすべて小山内が請け負った。
「おかげで自分がプレーをするよりもだんぜん疲れた」そうだが、余計な気を遣うこともなかったので、気分的には楽だったのだが、今度はお互いプロ同士だ。
「ケンカになってしまわないか・・・」と、今からちょっぴり心配だ。
「もちろん、トモのプレースタイルはよく知っているし、ある程度は任せるつもりだけれど。“そんなところで刻んでんじゃね~よ”とか、“なんでそんなところに打つんだよ”とか、思わず口走って怒らせてしまわないかな」と、不安なのだ。
もっとも、それが逆に発奮材料になって思わぬ結果を生むかもしれず、「まあ、とにかく俺が勝たしてやるから!」と“副業”にも大張り切り。
「オープンウィークの今週は、ジャパンゴルフツアーチャレンジトーナメントのよりいっそうの応援をよろしくお願いします!」と、宣伝も忘れなかった。