ツアープレーヤーたちの贈りもの<谷口徹>
2007年度の賞金王に輝いた谷口徹。5年ぶり2度目の快挙達成の日、思いがけない人からプレゼントが贈られた。といっても本人に、ではない。谷口が目に入れても痛くないほど可愛がっている長女の菜々子ちゃん。贈り主は、今をときめくスーパー高校生の石川遼くんだ。
今季最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」最終日は、例年を大きく上回る9000人以上のギャラリーが詰め掛けて18番グリーンをぎっしりと埋め尽くしたばかりか、クラブハウスに続く通路をはさみ、16歳のホールアウトを今か今かと待ちわびていた。
もみくちゃにされながらどうにか引き上げてきて、ようやくクラブハウスに辿りついた遼くんを迎えたのが、谷口の妻・亜紀さんに抱かれた菜々子ちゃんだった。今年2歳になった菜々子ちゃんが、たどたどしく呼びかける。
「リョウクン~」。
可愛らしい女の子の姿に気がついた遼くんはすかさず、愛用のピンクのラインのヘッドカバーをプレゼント。大喜びの菜々子ちゃんは、これを抱きしめて離さなかったという。
あとで、これを伝え聞いた“パパ”も感激しきり。「うちの娘も遼くんのこと好きになったのかなあ…」と、父親ならでは(?)の心配をのぞかせたあと、「遼くんならいいけどね」と笑い、さっそくお返しを用意して、遼くんに手渡したという。
遠征中は毎晩、テレビ電話でおしゃべり。そのたびに菜々子ちゃんは、「お父さんに会いたがって」泣くという。それだけに会場に応援に来るのが大好きで、お父さんのラウンドにも一生懸命について歩く。
最終日は15番でチップインバーディ。大ギャラリーの歓声につられ、菜々子ちゃんもはしゃいで手を叩いて喜んだ。あとで「お父さんが入れたのを見た?」と聞くと、嬉しそうに頷いたという。菜々子ちゃんの話になると、もうデレデレ。「パパに会えるのを楽しみに、応援に来てくれているみたいだからね」と、目尻を下げる。
初の賞金王に輝いた2002年は、「ゴルフがすべてだった」。練習量も情熱も「今の倍以上あった」そうだが、その分、息抜きする場所がなかった。それが、2005年に結婚して生活が一変した。「家族が1番、ゴルフが2番」。練習も、トレーニングの時間も半減したが「家に帰ればすべて忘れられるから」。
7月の「セガサミーカップ」で2週連続優勝をあげてからずっと、ランク1位を走り続けてきた重圧を癒してくれたのが、家族の存在だった。「家族がいてくれたから、賞金王になれた」と、てらいもなく谷口は言ったが、今をときめく16歳からの思いがけない“プレゼント”が、喜びに拍車をかけたようだ。
»谷口徹選手~2007年賞金王までの道のり~