ツアープレーヤーたちの野望<立山光広>
ちょっぴりこわもて。しかしその外見とは裏腹の面倒見の良さで、“番長”の異名を持つ立山光広も今年シード7年目を迎え、ジャパンゴルフツアーメンバーの常連として、すっかり定着した感がある。
毎年、話題にも事欠かない。熱狂的なゴルフファンのみなさんならば、2006年の「アコムインターナショナル」での“パフォーマンス”はまだ記憶に新しいのではないだろうか。初日の8番パー3で、なんと1ホール19打のワースト記録を更新。予選通過も絶望的なスコアを打ちながら最後まで諦めずに回りきったのは、「そうしたら、新聞に載れると思ったから」とうそぶいたが、あのとき、ボールの位置すら確認することも困難な、藪といっても良いようなラフと格闘する姿は、どんな状況でもけっしてゲームを投げない、ゴルフを心から愛する男のそれだった。
チャレンジ精神も旺盛で、昨年末にはアジアンツアーのファイナルQスクールに挑戦。みごとランク6位で出場権を手に入れて、このオフは積極的に海外にも足を伸ばす。米ツアーの「ソニー・オープン・イン・ハワイ」で今季初戦を迎えたあと、アジアのインドネシアオープンに出場。大会2日目にキャディがスタートに間に合わず、2ペナルティを食らう不運もあって、「最終日は僕がホールアウトしても、まだ最終組がスタートしていなかったくらい」と笑うが、さらに2週後のアジアンツアーインターナショナルも含めて、いまだ予選落ちなしと奮闘している。
そして、なんといっても魅力は豪快な飛距離だ。それは、あのジャンボ尾崎も一目置くほどで、先月のゴルフフェアで、クラブ契約先GMAのブースで開催されたトークショーで「立山のゴルフはいい。豪快に飛ばすし、見ていてとても面白い」との賛辞を受けたほど。「…なのに、なんでこいつが賞金ランクのトップ10に来られないのか?」とまで言わしめたのだ。
それほどの実力を持ちながら、初勝利もまだ。幾度かチャンスを迎えながらいま一歩、届いていない。理由とその解決策を尋ねた立山に、ジャンボはあっさりとこう答えた。「まあ…無理だな。だってお前、A型だろ?」。ジャンボいわく、スポーツ界で成功している選手の血液型は「その多くがB型」とのこと。目立ちたがり屋で、ここぞというときの気持ちの切り替えが早いから、性格的に大成しやすいと説く。それに引き換え「周囲に気を遣い、クヨクヨと思い悩むタイプが多い」とされるA型は、いざという場面で力を発揮できないという。「その分、気配りはバツグンだから、むしろ人をサポートする仕事についたほうが、その能力を生かせるんだ」と、ジャンボは言うのだ。優勝できないのを血液型のせいにされては、さすがの立山もどうすることもできない。
16歳に対抗心メラメラで、「今年は遼をやっつける!」と気炎をあげるジャンボに立山は、「…俺はもう、血を入れ替えるしかないみたい。諦めて、ジャンボさんの露払いに徹します」と、わざとしょんぼりと言って笑わせたが、本心なわけがない。いつまでも誰かの引き立て役ではつまらない。ジンクスは、破るためにあるのだ。ジャンボの持論をひっくり返し、今年こそ男・立山が栄冠を手に入れるか!?