アマ・その他ツアー

ツアープレーヤーたちの観戦日記

2008/10/25 15:49
上:谷原秀人の絢香夫人(左)&井上信の明日香夫人
下左:パナソニックオープン優勝時の谷原秀人と絢香夫人
下右:キヤノンオープン優勝時の井上信と明日香夫人

姉妹のように寄り添う2人の美女。今をときめくプロの夫人だ。いずれの夫も今季の新規トーナメントで優勝を飾った。左がアジアパシフィック パナソニックオープンで、今季2勝目をあげた谷原秀人の絢香夫人。右がキヤノンオープンでツアー通算2勝目をあげた井上信の妻・明日香さん。今年、結婚したばかりの新婚ホヤホヤというのも共通している。

今夏、谷原から絢香さんを紹介された井上は、すぐにピンと来たという。「うちの嫁と絶対に気が合うと思う」。容姿の愛らしさだけではなく、話し方や身振り、また趣味なども似通っている部分が多く、「きっと会えば仲良しになると思う」との井上の力説は、まさにそのとおりとなった。

初めて会ったその日に即・意気投合したのだ。

そんな2人の夫人が大事そうに握りしめているノートこそ観戦日記。夫の18ホールが事細かに記されている。最初に、絢香さんが始めた。会場に応援に来ても、ただ漫然とついて歩くしなかった妻に谷原が提案したのだ。

「ただ回るだけじゃなく、僕のプレーをノートにつけてみれば。エルスの奥さんもやってるらしいよ」。さっそく、7月の全英オープンからスタート。「雨が降るとぐちゃぐちゃになってしまう」と、早くも2冊目に突入した日記の表紙は水濡れにも強い、こだわりのプラスチック製だ。

そこには「ゴルフのことはまったく分らない」という絢香さんなりに、夫の1打1打が丁寧に書き込まれている。またそのとき浮かべた表情やしぐさ、時にはギャラリーが夫について話していた内容までメモしておくこともあるという。

そして最後にその日1日、夫のプレーを見て感じたことや激励のメッセージを残す。夫は帰りの車の中でそれを読み、笑い転げながらも、そのメモから客観的に自身を見つめることができる。

たとえば決まって失敗するホール、またはそのミスの仕方には、必ず傾向がある。妻のメモから自分のプレーの弱点が見えてくる。「いつも同じラフに入れているから気をつけようとか、逆にここの攻め方は確かに良かったから明日もこうしようとか…。反省したり攻略法が見えてくる」と、谷原はいったものだ。

井上夫人の明日香さんも、そんな谷原夫妻の姿を見て日記を始めたが、そもそもの動機は「夜の飲み会で、みんなの話に入りたいから」だった。アマチュアの多くがそうであるように、プロゴルファーも食事の席で、その日のプレーを振り返りたがる。しかし、いつも明日香さんにはその内容がちんぷんかんぷん。

「私も絢香ちゃんのように書いたら少しは理解できるようになるかもしれない」と、さっそくノートを購入。今では夕食の席で欠かせない“小道具”となっている。ラウンドの話題が始まると、すかさずその日のラウンドのページを開く。「“そうそう、あのホールねぇ~”っとか言って一緒にあいづち相槌も打てるようになったんですよ」と、嬉しそうに明日香さんはいう。

中でも、プロ仲間の笑いを誘ったメモは夫の似顔絵。ボギーにした直後のホールの井上を描写したもので、額のあたりにはちびまる子ちゃんばりに“ザザ~っ”と青ざめた跡。それはそれはソックリな上に、顔のすぐ下には「ピン顔」とのコメント付き。つまり「ピンチのときの顔」という意味だそうで、「グリーンを下りて歩いてくるときに、ほんと~にこんな顔してたの」とのたまって、再び一同を爆笑の渦に引き込んだ明日香夫人なのであった。

とにもかくにもこの2冊の“嫁日記”に言えることは、選手たちの連戦の疲れを大いに癒してくれるということだ。絢香さんのメモの端にはそのとき歩いていて見つけたというキノコの絵がほのぼのと書いてあったりして、それがまた谷原の笑いを誘う。そこにはさぞ甘い愛の言葉もたくさん並んでいるんでしょう、と絢香さんに水を向けたら「それはもう、ハイ・・・」とハニかんでから、「ノートだけじゃなくて、毎日のように言ってますから」と、なんとも可愛らしい顔で打ち明けられて、思わずこちらまでトロけそうになってしまった。

今をときめく2人のプロの活躍は、まさに内助の功といって間違いないのである。