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佐藤信人の視点 勝者と敗者

「ZOZO」で感じたPGAの対応力

タイガー・ウッズ選手(米国)と松山英樹選手が優勝争いを繰り広げるという、日本開催としては絵に描いたような展開で大いに盛り上がった「ZOZOチャンピオンシップ」。無観客試合となってしまった土曜日は、諦めきれないギャラリーがフェンスの前に大勢集まったという話も聞きました。

大会開始前からプロアマやイベントなどで大きな注目を集め、試合中も多くのギャラリーが熱狂した「ZOZO」ウィーク。このような盛り上がりを見ると、囁かれるゴルフ人気低迷の不安など、どこ吹く風と思えてしまいます。ゴルフ自体がもつポテンシャルは、耳にしてきた情報よりだいぶ勝っているように感じられました。

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この熱狂や注目度の高さを生んだ背景はどこにあるのか? 日本ではじめてのPGAツアー開催という題材もさることながら、運営側であるPGAの手腕の素晴らしさも挙げられると思います。大雨で第2ラウンドが順延となり、10番(パー4)はティイングエリアの位置を大幅に変えざるを得ないといった予想外の事態となった後、迅速にコース対応にあたり、柔軟にスケジュールを変更し、選手の負担にならないように72ホールを消化しました。

とにかく72ホールをやりきる――この姿勢がトーナメントを運営するうえで、重要だということに改めて考えさせられました。というのも、国内ツアーでは現実的に、あの状況であれば、競技短縮か中止という選択肢が濃厚となっていたと思うからです。国内ツアーでは、JGTO主催大会(日本ゴルフツアー選手権)など以外、JGTOだけの判断では決められない要素が詰まっています。主催していただく大会スポンサー、中継していただくテレビ会社。立場によって利害関係が発生してしまうため、JGTOだけの独断で決めきれない事項があるからです。

それに対してPGAは、72ホールを見越して、第3ラウンドのスタートを日の出30分後という判断に踏みきったり、最終ラウンドを28日(月)の午前中に終わるように、27日にできるところまで進めたり、といった変更を適宜行いながら、継続する方向で進めました。

また月曜日のプレーを午前中に終わらせたのは、次戦の中国「WGC HSBCチャンピオンズ」に向かう選手へ配慮した英断でした。72ホールを選手たちに強いるのではなく、選手の立場も踏まえ、コース管理や状況を鑑みて最善の選択を行う。観ているファンにとっても選手にとってもウィンウィンでいられる。そこがPGAの運営が素晴らしいといえる所以だと思うのです。

今回、世界のメディアが日本のギャラリーとコース対応の素晴らしさを高く賞賛する声を多く聞きました。ギャラリーについてはゴルフへの熱心さが伝わり、知識が深く、観るポイントを心得ている。コース対応については、大雨後にその被害を一切感じさせないほど復旧に携わったスタッフの努力を絶賛。日本のゴルフをとりまく環境は良い方向に向かっている、あとは運営側の変革が問われていることを今大会で再認識しました。

来年は東京五輪、また「ZOZOチャンピオンシップ」ではウッズ選手がディフェンディングチャンピオンとして、すでに参戦を表明しています。今大会が始まる前と後で、国内でのゴルフの見方はどのように変わったのか。その意義を確かめるのは、まだ先なのかも知れません。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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