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佐藤信人の視点 勝者と敗者

しっかり勝ちきる小平智の後ろ姿【佐藤信人の視点】

「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は、小平智選手が、石川遼選手とハン・ジュンゴン選手(韓国)の2人をプレーオフで振りきり、国内メジャー3冠達成という形で幕を閉じました。

勝敗を分けたのは、プレーオフ1ホール目のティショットと2打目のパット。18番(パー3)で行われたプレーオフで、打つ順番が1番目となった石川選手がピンそばにつければ、あとの2人に大きなプレッシャーをかけられる状況。ただ、石川選手の放った球はピンとは逆のグリーン左端、かなり長いパットを残す結果となります。

最終組の3組前でまわった小平選手は、プレーオフが始まるまでかなり長い時間が空きました。風向きも変化し、アゲンストがやや強くなった印象。日も傾いたことで体感の温度も下がり、状況はかなり変わっていることで、正直1番目に打つのは不利な場面でした。

石川選手のティショットを見ることができた点で大きなミスにはならず、よりピンに近い場所に乗せることができました。また2打目も先に石川選手のパットを見ることができ、寄せきることはできませんでしたが、より近くの位置でパーパットを残すことができました。この2度の順番の綾が勝機を呼び込んだと言えるかと思います。

小平選手のパーパットは、残り1.5mのカップ真横からのスライスライン。ほかの2人がボギーとなり、大チャンスとなっていたのですが、傾斜がきついため、外せば返しのパットも不確実な状況。このピンチも潜んでいたしびれる場面で、何ら迷いなくカップにねじ込みました。彼は持ち前の決断力の速さと勝負強さを発揮したのです。

3日目に同組でまわった後輩の時松隆光選手が、小平選手の攻める姿勢に感動したとコメントを残していますが、最近の彼のプレーを見ていると、米ツアーを制した自信なのか、米ツアーで培ったタフさなのか、より精悍さとメンタルの強さを感じさせるのです。それを多くの言葉で表さず、背中で物語っているところも好印象を受けます。

「飛距離を追い求めるのではなく、そのまま行ったらいい」――11月「ISPSハンダ メルボルン ワールドカップ」で小平選手と日本代表として共に戦った谷原秀人選手が、彼に向けた台詞です。小平選手の1W飛距離は平均290ydほど。国内では飛ばし屋のグループに入りますが、屈強の米ツアー選手の中では平均以下。戦っていくうえで、より飛距離を追い求めたくなると思います。ただ、できればこのままの形を崩さず「そのまま行ったらいい」というのが、谷原選手のアドバイスなのだと思います。

小平選手にとって本格参戦2年目になるシーズン。飛距離や体格差の壁にぶつかる時もくると思いますが、今回のような勝負強さを発揮すれば、米ツアー2勝目その先にフェデックス杯プレーオフ出場も見えてくると思われます。そしてまた、国内に戻って試合に出る際には、より一層存在感の増した背中で語ってほしいと思っています。

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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