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佐藤信人の視点 勝者と敗者

蝶のように舞い、蜂のように刺す“虎さん”スタイル

「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」は、チェ・ホソン崔虎星)選手(韓国)が今平周吾選手を振り切り、昨年11月「カシオワールドオープン」以来の日本ツアー通算3勝目を飾りました。

最終日、優勝争いは最終組の2人に絞られ、後半は一騎打ちの様相を呈しました。2人のスタイルがまったく違うことから、彼らが演じたマッチプレーは緊張感を帯び、多くのギャラリーを釘づけにしました。片や相手との間合いをはかる戦略タイプ、片や自分のプレーに徹する孤高タイプ。対照的な構図が終盤での優勝争いを白熱化させました。

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チェ選手は独特のスイングと派手なパフォーマンスで注目を集めますが、プレーそのものは緻密で堅実的。絶対にミスをしてはいけない方向には打ちませんし、番手選びもポイントを押さえた選択を取ります。コースマネジメントもきっちり立てて、安定的なゴルフを展開するタイプといえます。

ただ、リアクションの大きさから、常にバタバタしているイメージ。見た目はバタついているのに、ショットもパットも内容は安定感抜群。今平選手にとってはそれほど意識はなかったと思われますが、マッチ相手としては、セオリー通りに予測のつくタイプより、少しやりにくさはあったのではないかと推測します。

そんな彼のスタイルが、今大会でより光ったポイントは2つ。ひとつはショートゲームのうまさ。この試合に限らず、日本に来てからのスタッツを見ても、「サンドセーブ率」「リカバリー率」「平均パット数」は常に上位。短いアプローチでも、難しいロングパットでも、つい「うまい!」と唸ってしまうような技術の高さを示してくれました。

もうひとつは、試合展開を読む能力。勝負を分けた11番(パー4)と17番(パー4)は、今平選手がボギーをたたいてしまうのですが、逆にチェ選手はバーディ。どちらもティショットを曲げてしまった今平選手に対し、その後に放った彼のティショットは計算通り。レイアップを選択しても良いとされるシーンでも、あえて同じドライバーを抜き、相手より前に置く。戦う相手としては戦意を失われるといいますか、ダメージは小さくない。こういう細かなマッチプレーでの妙をつくすところが、彼の勝負師たる所以なのだと感嘆させられました。

ボクシングに例えると、前半で今平選手がバーディラッシュを決めている間はガードを固め、後半に今平選手の脇が開いた瞬間に的確なパンチを送りこむ。蝶のように舞い、蜂のように刺す――。相手の動きを見ながら勝機を得るスタイルが、時として自分のプレーに徹するスタイルを打ち負かすことをチェ選手が教えてくれたように感じました。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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2019年 HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP



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