藍のサインは“一生の宝物” 成田美寿々は歓喜 勝みなみ号泣
◇国内女子◇サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 最終日(11日)◇六甲国際GC(兵庫)◇6538yd(パー72)
ホールアウト後にもらったサイン入りボールは一生の宝物だ。今季限りの引退を表明し、今大会が国内ラストゲームになる可能性がある宮里藍と最終ラウンドをともにした成田美寿々。「74」と崩れて通算イーブンパーの38位に落としたが、「楽しかった。人生で一番、最高の日でした」と笑顔を向けた。
多くの若手たちが願った宮里との同組プレー。決勝ラウンドの組み合わせは成績とスコア提出の順番によって決まる。前日3日目のラウンド後、成田はクラブハウス前で「お願いします…」とつぶやきながら、食い入るようにスコアの動きを知らせるモニターを見つめていた。入浴中にスマートフォンで“吉報”を知り、浴槽で歓喜したという。
24歳にとって宮里は「私がゴルフを始めた、プロを目指したきっかけになった人。今の私がいるのは藍さんのおかげです」と尊敬してやまない存在。1番ティで「思い切って、ボールをください」とお願いしたところ、ホールアウト後に使用ボールを手渡された。サインとともにマジックで書かれていたのは『みっすー(成田の愛称)、ありがとう!』というメッセージ。「うれしくて、食べたいくらい」と目を細め、大切そうにポケットに忍ばせた。
「藍さんも思い入れがあるはずなのにリズムが変わらない。本当に精神的に強いと感じた」と話し、日本ツアー15勝、米国ツアー9勝を挙げた元世界ランキング1位の強みである揺るぎないメンタルを実感。「受け継ぐのは私たちの世代でありたいし、私も人として成長して、惜しまれて引退できるように成長したい」と表情を引き締めた。
宮里はホールアウト後もコースに残り、表彰式にも出席した。列席したアマチュア選手の中、勝みなみは宮里のスピーチ前に号泣した。「あんなに泣いたのは初めてです。目標としていた選手だった。『最後』という言葉を聞くたびに、こみ上げてくるものがありました」。サインをもらったキャップは「家宝にします」としみじみと話した。(兵庫県神戸市/塚田達也)