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「首の皮一枚つながった」宮里藍は渾身バーディで週末へ

◇国内女子◇サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 2日目(9日)◇六甲国際GC(兵庫)◇6538yd(パー72)

国内ラストゲームの可能性がある節目の試合で、このまま終わるわけにはいかなかった。2アンダーの22位タイから出た宮里藍は2バーディ、2ボギー1ダブルボギーの「74」とスコアを落とし、通算イーブンパーに後退した。引退表明後初の大会で予選落ちの危機に瀕しながら、終盤に粘り50位タイで決勝ラウンドに進んだ。

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来場者は初日を2670人上回り、2日目の大会記録として歴代最多となる9405人。宮里は連日の大ギャラリーの前で、ゴルフ人生で培ってきた忍耐力を披露した。序盤4番(パー5)で、左ラフからの第3打をグリーン左手前のバンカーに突っ込むと、ショートサイドのピンに対する4打目はグリーンに届かず、5オン2パットのダブルボギーをたたいた。7番でバーディを奪い返したが、直後の8番で再びバンカーセーブに失敗してボギー。背中に迫るカットライン。宮里だけでない。会場中が緊張感に包まれた。

14番で3m強のパーパットをねじ込んでガッツポーズを作りながら、16番(パー3)を3パットボギーとし、通算イーブンパーに再び後退。藍ちゃんは、週末にいないのか――。そんな土俵際で主役は真骨頂を見せた。

カットラインは「たぶんゼロだろう」と意識しながら、リーダーボードで順位を確認するのは「今日に関しては」あえてやめた。プレッシャーは十二分に感じている。もう一人の自分が、さらに重圧をかけることはない。17番(パー5)。1W、3Wでフェアウェイをとらえると、残り72ydの第3打をSWでピンそば3mにつけた。緩やかなフックラインを前に、ロープサイドは息をのむ。「バチン!」と乾いた響かせたバーディパットは「良いストロークで、しっかりとらえられた」という確信がこもったまま、勢いよくカップに収まった。

「もう気力も、体力もすべて使い果たした。それくらい大変だった」とホールアウト後の笑顔には、疲労感が漂った。前半アウトを終えてハーフターンした際、スコアを落としていた同組の高橋彩華(アマチュア)に「後半がまだあるよ、頑張ろう」と声をかけた。「でも、それも自分自身に言ったところがあった」。カットラインは最終的に通算1オーバーとなったが、ホールアウト直後は「首の皮一枚つながった」と息をついた。

週末2日間の前売り券は今週月曜日にすでに完売。会場で販売される当日券を持ったギャラリーを含め、決勝ラウンドは連日1万人以上の来場が確実視されている。その多くが“見納め”を覚悟したファンであることは言うまでもない。「できるだけ上に行きたい」とトップとの10打差は重く受け止めている。それでも宮里藍は、週末もここにいる。(兵庫県神戸市/桂川洋一)

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