日米ツアー足かけ8年 日本で微笑んだ勝利の女神
「Very Happy!」米国ツアー公式戦を兼ねた国内女子ツアー「ミズノクラシック」で初優勝を飾ったテレサ・ルー(台湾)の感慨は、この一言に集約されていた。
台湾ゴルフ協会のジュニア育成プログラムで渡米を経験したこともあり、台湾のナショナルチームにも所属していた若き才能が最初に飛び込んだのは米国ツアー。2005年末のQTを通過し、10年まで世界最高峰の舞台でプレーを続けた。
しかし、シード権は確保しながらも優勝には届かず、「空気を変えたい」と、母国からも近い日本のQTに臨んだのが09年。翌10年は両ツアーを掛け持ちしたが、11年以降は完全に日本に軸足を置き、シーズンを重ねてきた。「長い間、待ち続けた勝利でした。本当に嬉しいです」。日米ツアーを通じて足かけ8年、ようやく掴んだ初タイトルだった。
日本ツアーに本格参戦した時点で、すでに海外でもまれてきた実力と実績は十分なもの。しかし、日本でもまた、あと一歩まで迫りながらも勝利の女神は微笑まなかった。今シーズンに至っては、2位フィニッシュが3回。4月「ヤマハレディースオープン葛城」では最終日の終盤17番まで首位に立ちながらも、最終ホールのボギーで追いつかれ、プレーオフで散った。
だが、惜敗の経験は着実にルーの推進力になっていった。「2位になって学んだこともあった。追いつかれた流れのヤマハでは自分に自信が無くなっていたけど、今日は最初から最後までいいプレーが出来ていたので自信を持てていた」。サンデーバックナインで6バーディを奪ったこの日のラウンドも、流れを切らさない教訓があった“学び”の成果ともいえるだろう。
今大会の優勝者には来季米ツアーの出場資格が与えられるが、「実力を試すために出場するかもしれないけど、日本が大好きだし、メインは日本に置きたい」と、引き続き日本ツアーを主戦場とする構え。「将来の夢は考えていないけれど・・・優勝していければ十分かな」。米国では果たせなかった夢の続きを、明日からまた日本で歩みはじめる。(三重県志摩市/塚田達也)