脱力の“200ヤード理論” 横峯さくらが通算20勝目に王手
愛知県で開催されている国内女子ツアー「マンシングウェアレディース東海クラシック」の2日目、首位と3打差の8位から出た横峯さくらが、6バーディ、ノーボギーの「66」をマーク。通算10アンダーで首位に並び、今季2勝目のチャンスをたぐり寄せた。
3番(パー5)で残り40ヤードの3打目をピン2メートルにつけてバーディを先行。さらに8番でも2打目をピン2メートルにからめてスコアを伸ばした。前日の横峯の予想通り、上位陣は序盤からバーディ合戦。いくぶんスロースタートと思われた前半だったが、迎えた後半、横峯のエンジンも回転数を上げる。
10番ではカラーから約6メートルの距離を直接沈め、続く11番(パー3)では「強めに入った」という10メートルのロングパットがカップを鳴らし連続バーディ。「ショートだけはしないようにしっかり打つことを心掛けた」と、15番では6メートル、17番では7メートルを次々に沈めた。
今年8月の「NEC軽井沢レディス」の予選落ちで、101試合まで伸びていた連続予選通過記録が途絶えた。「ショック半分、でもホッっとしたことも正直あります」と、無意識のうちに縛られていた連続記録から解放された瞬間でもあった。「自分を見つめなおす良い機会」と捉えて、失いかけていた爆発力を取り戻そうとしている。
さらにプレー面での変化もある。「今はティショットだと“200ヤード”を飛ばす感覚で振っている」というのだ。平均飛距離が約240~250ヤードという横峯からすれば、この“200ヤード”という数字は明らかに短い。「飛ばそうと思うと力んで良い結果がでない。200ヤード飛ばすことを考えれば、無駄な力が入らず、しっかり振れる」という逆説的な飛ばし理論だ。
自他ともに認めるフェードヒッターだが、力むと、時に逆球のドローも出てしまい、この数年はコースマネジメントに苦しんできた。「(フェード、ドローの)両方出ると、トラブルも起こりやすい。ゴルフは、スコアを作っていかなければいけないので」という、横峯なりの苦悩解消にもつながる理論だ。
記録という足枷が外れ、通算20勝目で新たなステップに上ったことを証明しようとしている。(愛知県知多市/糸井順子)