左肩故障から復帰の大山志保が今季初戦
国内女子ツアーは1週間のオープンウィークを経て、13日(金)開幕の「スタンレーレディスゴルフトーナメント」で再開する。各選手が後半戦へ向け気を引き締めなおす中、ようやくシーズン初戦を迎えるのが、ツアー通算12勝の大山志保だ。
戦列を離れていた大山に異変があったのは、オフシーズンの2月。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」を迎える直前、米国フェニックスでの自主トレ中に左肩の違和感を訴えた。練習ラウンドで60ヤードのショットを打つと、激痛が走った。現地で医師の診察を受けた直後に帰国。都内の病院での精密検査の結果、左肩軟骨損傷および亜脱臼の診断が下った。
バックスイングでは「9時の位置」、いわゆるハーフスイング程度しかクラブが上がらず、「筋肉がちぎれそうな、叫びたくなるような痛み」が続いた。手術は回避できたが、インナーマッスルを鍛えるトレーニングを続ける日々。5月中旬に一度回復したかに思われたが、練習でバンカーショットをした際に再発。地元の宮崎県でリハビリに勤しみ、ラウンドができるまでになったのは7月に入ってからのことだった。
シード選手の今季の出場試合数は19試合(日本女子オープン、日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯、ミズノクラシック、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップを除く)となっているが、残り試合にすべて出場しても、既にそれには達しない。来季の出場権を確保するためには、優勝するか、シーズン末のQTでそれをつかむ必要がある。
それでもかつての賞金女王は「やっと帰ってこられました。こうやって戻れたことは幸せ」と話した。「神様からの試練」と現実を受け入れつつも、一時期はツアープロをあきらめ、レッスンプロの道や、兄の経営する不動産業を手伝うことすら考えたという。だからこそ「シードがなくなっても、ゴルフができれば良い。出られる試合は少ないが、ベストを尽くして優勝を目指すことができる」と喜ばずにはいられない。
復帰への糸口を辿る道筋で、スイングも大幅に変えた。シャットにクラブが上がらず、肩そして古傷のひじに負担がかからないようフラットな動きになった。だが「体全体を使う今のスイングのほうが好き」と自信もある。「ツアーの雰囲気の中で、距離感や、自分の新しいスイングでどのくらいやれるか」と課題は山積しているが、スタートの時が待ちどおしい。
「まずは3日間、痛みが出ないように」。4か月遅れの開幕戦。大山は祈りを込めてティオフする。(静岡県裾野市/桂川洋一)