「恥ずかしいくらい自信満々」1勝目からシード喪失 “諦めが悪い”永井花奈の9年ぶりV
◇国内女子◇ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ 最終日(12日)◇真駒内カントリークラブ 空沼コース (北海道)◇6700yd(パー72)◇雨(観衆2254人)
前半7番、永井花奈は悪天候による中断からの再開を林の中で待っていた。パー5の6番を奪えず、同じ最終組の仲宗根澄香に並ばれた直後。少なからず苦手意識のあるホールで右に大きく曲げ、ボールには松ぼっくりがくっついていた。左サイドの7番方向に戻すことを断念し、右サイドの6番に向かって打つことを選択。ボールがラフに止まったところで中断のホーンが鳴った。
29分間の中断を挟んでスコアを落としたが、ダブルボギーを必死に回避した頭の中は冷静だった。「次試そうと思ったこと、『こうやったら修正できるかな』っていうところは、(7番のティショットを)打ってすぐにひらめいていたので」。だからこそ、やはり右にミスした8番(パー3)のピンチをショートゲームでカバーして切り抜けられたことが大きい。「あれがきょう一番いいところだったと思います」と胸を張る。
グリッププレッシャーが強くなり過ぎないよう意識した9番の1Wショットは、飛距離こそ稼げていなくても“会心”だった。しっかり出球が左に飛び、右へ切れていくフェードボール。折り返して10番からの2連続バーディで再びトップに立つ呼び水となり、そのまま涙のフィナーレまで走り抜けた。
9年前、20歳での初優勝を振り返れば「自分でも恥ずかしいくらい自信満々だったんです」と苦笑いが漏れる。最終日が中止となった36ホールでの勝利を「すごくラッキー。3日間やっていたら、負けていたかもしれない」とどこまでも謙虚に受け止めるのは、浮き沈みの激しいこれまでを送ってきたこともあるのだろう。2021年に一度シードを喪失。返り咲きを果たしたが、24年に再び手放した。
ボロボロになっていた心をつなぎとめてくれたのは、温かかった周囲の応援。苦しい時に支えてくれる人たちが2勝目をどれだけ喜んでくれるかイメージすることが「努力し続ける“種”」になった。「諦めが悪いのか、2勝目をしないとやめられないと自分自身にプレッシャーをかけていたところもある。逆にそれで遅くなった可能性もあるんですけど…」とこぼしながら、実現してみんなを笑顔にできたことがうれしくて仕方ない。
前週のプレーオフ惜敗を含め、3度の2位も記録しているシーズンでメルセデスランキングは3位に浮上した。年間女王について「去年の成績(ランク32位)で考えていたら、キモいなって思う(笑)」と言いつつ、自己最高のシーズンとなりそうな気配は漂う。「ことしの目標はすべてのスタッツで過去最高順位を出そうと思ってやってきた。怖いもの知らず、勢いっていうところ以外は全部(9年前より)パワーアップしていると思います」。3週後には自身初の海外メジャー挑戦となる「AIG女子オープン(全英女子)」(7月30日~/イングランド・ロイヤルリザム&セントアンズGC)も控える。4日間、雨続きだった大会を制した29歳のキャリアに確かな光が差し込んだ。(札幌市南区/亀山泰宏)