2026年 SkyRKBレディスクラシック

笑顔の勝利の裏にあった「ギャン泣き」桑木志帆が歩んだ1年半のトンネル

2026年 SkyRKBレディスクラシック 最終日 桑木志帆
桑木志帆は1年半ぶりの勝利に満面の笑みで両手を突き上げた

国内女子◇Sky RKBレディスクラシック 最終日(17日)◇福岡雷山ゴルフ倶楽部(福岡)◇6490yd(パー72)◇晴れ(観衆3501人)

入れれば優勝が決まる60cmのパーパットは、桑木志帆にとって今週最も緊張した瞬間だった。慎重に沈めると、トレードマークの大きなサングラスを外してホッとした表情を浮かべた。「苦しい時もあったけれど、自分を信じてやってきて、やっと勝つことができた。めちゃくちゃうれしい」。涙はない。観客の歓声でその顔には満面の笑みが広がり、快晴の青空に両こぶしを突き上げて喜んだ。2024年11月「JLPGAツアー選手権リコーカップ」以来1年半ぶりの勝利は、1打差の接戦を制する価値ある1勝になった。

首位タイで迎えた最終日は、ウー・チャイェン(台湾)とのマッチレースとなった。2番(パー5)でカラーからバーディパットをねじ込むと、ここから3連続バーディ。11番(パー5)までに6つスコアを伸ばし、一時は後続に4打差をつけて独走態勢を築いたかに思われた。しかし、終盤に試練が待っていた。15番で桑木の2.5mのパーパットがカップをなめた一方、ウーがバーディとして1打差に迫られる。それでも冷静さを維持し、その後はスコアを落とさなかった。パー5の最終18番では、相手が1m強のバーディパットを決めきれずに勝負あり。「最後まで耐えられた」。中盤までに作った“貯金”が勝負どころで生き、「67」で回って通算15アンダーで栄冠を手にした。

2026年 SkyRKBレディスクラシック 最終日 桑木志帆
1打差の息の詰まる接戦

24年に初優勝から国内メジャーを含む3勝を重ねた。しかし年間女王本命との呼び声が高かった25年は、3度の2位も勝利なしに終わった。日本ツアーはもちろんのことだが、今も頭に思い浮かぶ苦い思い出が、3試合出場した海外メジャーだった。「全米女子オープン」は56位に終わり、「全米女子プロ選手権」と「AIG全英女子オープン」は予選落ち。特にカットラインに1打届かなかった全米女子プロでは、ホールアウト直後から帰りの車中まで悔し涙が止まらなかった。「ギャン泣きでしたね。去年は海外で全然通用しなかったことが、自分の中で1番悔しかった」と振り返る。

進化を期した26年シーズンに向け、新たに取り組んだのがマネジメントだった。1月にオーストラリア合宿を行い、そこで出会った現地コーチからデータ管理アプリを勧められて導入。同時に25年から師事する岩本砂織コーチからマネジメントの重要性の助言を受け、攻め方をより緻密に組み立てるようになった。「無理にピンを攻めなくていいホールとか。ゲームの組み立てがうまくできるようになってきたのかな」とうなずく。

2026年 SkyRKBレディスクラシック 最終日 桑木志帆
海外での涙は無駄じゃなかった

涙を流した海外での経験も、決して無駄じゃなかった。一つは上げるアプローチの大切さを知ったこと。そしてもう一つが「ちょっと恥ずかしいんですけど…」と苦笑いで明かした素振りの話だ。ラフからのショット時の素振りを、「何のためにするのか分からなかった」という。芝の抵抗を確認する作業の一環であることを、初めて知った。「やばいですよね!」と自虐的に笑ったが、そうやって前向きに吸収してきたことが通算4勝目へとつながっている。

この優勝で世界ランクは現在の79位から60位台に浮上する見込み。5月25日時点の同ランク75位以内の資格で、6月「全米女子オープン」(カリフォルニア州リビエラCC) の出場切符獲得が濃厚だ。年間ポイントランクも8位から4位にジャンプアップし、「国内で年間女王を目指す」と力強い宣言も飛び出した。念願の勝利も、成長中の23歳にとっては通過点。目指す場所は、まだまだ先にある。(福岡県糸島市/中村文香)

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