“撤退”覚悟で臨んだシーズン 葭葉ルミは思わぬ好成績に「予想外すぎて(笑)」
◇国内女子◇ブリヂストンレディスオープン 2日目(23日)◇中京ゴルフ倶楽部 石野コース(愛知県)◇6642yd(パー72)
6位から出た葭葉ルミは、出だしの1番をダブルボギーとしながらも5バーディ(1ボギー)を奪い返す「70」のナイスカムバック。通算6アンダーと首位に迫り、上位での決勝ラウンド進出を決めた。滑り出しのつまずきにも「まだ1ホール目だし、気にしないでプレーしていた」と自然に思えたのは、シーズン開幕前の秘めた思いがあったからかもしれない。
「ゴルフをするのは今年いっぱいかな、という気持ちがあった」。3月で32歳を迎えるシーズンインを前に、第一線を退く考えが頭をよぎった。2016年の初優勝から2勝目が遠く、2020-21年には、14年から守ってきた賞金シードを喪失。以降もシード復帰はかなわず、今季はQTランキング29位の資格(6月の第1回リランキングまで)で出場する。「ここ最近の調子とか、ランキングとか。伸ばし合いについていけない、と去年まで感じていた」と打ち明けた。
そんな覚悟もあったから、自分を追い込み過ぎることをやめた。「今まで意気込んでやっていたけど、今年は少し肩の力を抜いて、楽しむことを目標に」。すると、これまで許してこなかった“ゆとり”が良い方向に働く。「本当に肩の力がいい意味で抜けて、ショットもパットも安定している」と成績が安定。2週前の「ワールドレディスサロンパスカップ」では3位に入り、3シーズンぶりのトップ3フィニッシュを決めた。
今週の首位争いにも、「結果が予想外すぎて」と戸惑いの笑いが込み上げる。今後はQTを受けるつもりもなかったが、サロンパスの優勝争いから「視野が少し広がった」と少なからず変化が生まれている様子。シード復帰もかないそうな勢いではあるが、「復帰したら?…考え中です」と笑って煙に巻いた。
一方で、ツアー屈指を誇ってきた平均飛距離は全体5位(254.98yd)と若手に引けを取らないポジションをキープ。第2戦からは「めちゃくちゃイイですよ」と絶賛する本間ゴルフのプロトドライバーを投入し、「振りすぎなくても真っすぐ飛んでくれる」と頼もしい武器も得た。「そりゃ優勝はしたいけど…同じ気持ちの方が(スコアを)伸ばせると思うので」。成績に一喜一憂することなく、週末も純粋にゴルフを楽しみたい。(愛知県豊田市/塚田達也)