プロ14年目の初優勝&初シードへ 首位発進・工藤遥加は手痛い失敗から学んだ
◇国内女子◇大王製紙エリエールレディスオープン 初日(14日)◇エリエールGC松山(愛媛県)◇6575yd(パー71)◇晴れ(観衆2016人)
1日5アンダーを目標にしていたはずが、工藤遥加はいきなり4連続バーディで飛び出した。ショットを絡めた最初の2個に続き、3番(パー3)は上から13mほどがカップに消える「ミラクルバーディでした」と笑う。4番もウェッジでピンそば2mにつけて4連続。8番(パー3)も獲って、前半のうちに目標に到達した。
ティショットが荒れた後半、13番で初めてのボギー。そこからは9月「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」のドライビングコンテストでも優勝した飛距離自慢の1Wに頼ることなく、フェアウェイキープ優先のマネジメントにシフトした。2オンを狙える17番(パー5)も右の池と左のフェアウェイバンカーを警戒した4UTでの1打目から、8I→54度とつないでバーディ。18番も最初に3Wを握って2連続バーディ締めにつなげた。
6アンダー「65」で、4人が並ぶ首位タイ発進。「100点です」と白い歯がこぼれる。ここまでメルセデスランキング60位。プロ14年目で初シードを獲得するためには、単独7位以上のフィニッシュが求められる“最終戦”。プレッシャーとの付き合い方は心得ている。「1日1日の目標スコアをクリアすることにフォーカスする。そうしないと、自分の性格的にも緊張して、どうしようもなくなっちゃう」
試合の中で打ち方やほかのことに意識を向けて手痛い失敗をした経験を振り返れば、「毎回です」と自虐節が漏れる。数え切れないほど味わってきた悔しさが、最高のスタートにしっかりと生きている。
自己最高の賞金ランキング53位で終えた2014年。香川・エリエールGC開催だったこの大会でシードに迫り、惜しくも届かなかった。「あの年は(10月の)スタンレーでひざをけがしてしまって。50針くらい縫って、やっと間に合って、この試合だった」。当時とは積み重ねてきた経験値も比べ物にならない。
「毎年のことを考えたら、このポジションでプレーできているだけでも成長はしているのかな。プロ入り(2011年)は早かったけど、ゴルフ自体を始めたのは(12歳からと)遅かった。ゴルフでの勘違いとか、知識のなさみたいなものを、プロに入ってから痛感して、いろんな人にアドバイスをもらって成長できていると思う」
プロ野球で通算224勝を挙げた父・公康さんもその一人だ。「(大会前も)会いましたけど、全然、普通の感じ。『行ってらっしゃーい』って。そっちの方が良くないですか?」とニッコリ。重圧をかけまいと“軽く”送り出してくれた父の思いに応えるためにも、残り3日間も決め事を貫いて緊張と向き合う。(愛媛県松山市/亀山泰宏)