最多アンダーパー&4日間ノーボギー優勝へ 山下美夢有が2つのツアー記録に挑む
◇国内女子◇大東建託・いい部屋ネットレディス 3日目(20日)◇ザ・クイーンズヒルGC(福岡)◇6505yd(パー72)◇晴れ(観衆3164人)
チャージのスイッチは序盤の2番で入った。左ファーストカットから2打目をピン前3mにつけたチャンスを決めると、山下美夢有が小さく頷いた。
3番は7m、4番(パー3)は8mと長めの距離を沈める。前日同様、ティイングエリアを前に出し、実測255ydとなった5番は、ドライバーショットがグリーン奥にこぼれたものの、1mに寄せて取りこぼさなかった。
「最初の5ホールが肝心と思ってたんで、そこは良かったです」。予選2日間で3つしか伸ばせなかったアウトで、しかも序盤で4連続バーディを奪取して流れをつかんだ。最終18番は135ydを8Iで50cmにつける会心のバーディフィニッシュ。ボギーなしの「64」は、前日まで「ビッグスコアが出てないんで…」とこぼしていた不満を、ほぼ解消した。
それでも“ほぼ”だ。「まだ入ってくれてないの(チャンス)があるんで。タッチは良くなってるんですけど、打ち切れてないのが」。通算18アンダー、首位と2打差3位で迎える最終日に向け、予想優勝スコアを尋ねられて「30(アンダー)はいかないにしても、ビッグスコアが出たら、28(アンダー)とかまであると思います」と答えた。そこまで伸ばさないと勝てないと思っている。
国内女子ツアーの最多アンダーパー優勝は、2003年「ミズノクラシック」(3日間大会)でアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、16年「大王製紙エリエールレディス」(4日間大会)でテレサ・ルー(台湾)が記録した通算24アンダー。そこを軽く上回る意識で、最終日に挑む。
攻める記録と、守る記録を同時に打ち立てたい。今大会、3日間ボギーなしなのは山下一人だけ。最終日もスコアを落とさなければ、2022年「楽天スーパーレディス」の勝みなみ以来2人目の「4日間大会ノーボギー優勝」になる。「それは考えてなかったですが、そりゃ(ボギーなしは)いいことですよね」。笑顔で語る姿に、自信と充実感が漂う。
メルセデスランキング1位を走りながら、手にしていない今季初優勝へ。コースのある福岡県糸島市はこの日の正午、気温34.2度を計測した。「傘、氷嚢、ドリンク…あとこまめな補食ですか」。暑さ対策を万全にして、最終日に挑む。(福岡県糸島市/加藤裕一)