「この人に習えるのなら…」 天本ハルカと師匠・伊澤利光の出会い
◇国内女子◇Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 最終日(17日)◇鹿児島高牧CC(鹿児島)◇6456yd(パー72)◇雨(観衆2110人)
高校1年生の時、天本ハルカは地元・福岡に新しくできたインドア練習場を訪れた。「伊澤さんがレッスンされるって聞いて。じゃあ、行ったらちょっとだけでも教えてもらえたりするのかなと」。現在も師事する師匠・伊澤利光とは、そこで出会った。
「そこまでは面識はなかったんですけど、この人に習えるのなら。そこから交流させていただいています」。31歳上の男子プロに、飛び入りで弟子入りした。
伊澤は1995年「日本オープン」でツアー初優勝。01年にはメジャー「マスターズ」で日本勢最高位(当時)の4位タイに食い込み、同年は日本ツアーで5勝を挙げて賞金王に輝いた。02年には丸山茂樹とのコンビで「ワールドカップ」を制覇し、03年は2度目の賞金王を戴冠。 “キング” アーノルド・パーマーから「キング・オブ・スイング」と賞賛されるほどの美しいスイングの持ち主でもある。
以降は二人三脚でスキルアップに取り組む日々が続いた。「伊澤さんの中に明確なビジョンがあって、それを伝えてもらっている感じ。やっぱり考え方が同じになってくるので、自然と(自分のスイングも)近くなってきたのかな」。162cmの体を目いっぱい使ったダイナミックなスイングは師匠譲りだ。「男子と女子でも違うので、そこも考えてくださる。『俺だったらこうするけど、ハルカちゃんならこうかな』みたいな感じで」
喫緊の課題にはショートゲームを挙げ、昨年の後半から特訓が続いている。「まだシーズンが始まったばかりで、できないこともありますけど、根本的には良くなっていると思うので大崩れしないのかな」。9ホールの短縮競技となったこの日は、首位に3打差の12位から出て2バーディ、ノーボギーの「34」で回り5位フィニッシュ。開幕戦から3試合連続でトップ10入りは天本と小祝さくらの2人のみ。抜群の安定感だ。
昨季はメルセデスランキング43位に入り初シードを獲得。初優勝が待たれる25歳は「目の前で優勝争いを見られているので、良いイメージになってきた。来週も空回りしないよう、初日から積み重ねていきます」。師匠も、弟子の吉報を待っているはずだ。(鹿児島県姶良市/内山孝志朗)