桑木志帆は惜敗に涙止まらず「打ちきれなかった」
◇国内女子◇資生堂レディスオープン 最終日(2日)◇戸塚CC西コース(神奈川)◇6605yd(パー72)◇晴れ(観衆8349人)
20歳の桑木志帆は潔かった。プレーオフ2ホール目、自分がチャンスを逃し、櫻井心那がバーディパットを決めると、グリーンエッジから笑顔で拍手を送った。1歳下、プロテスト合格も1年後輩の櫻井とハグを交わした時も、笑みを絶やさなかった。
そして、すぐに泣いた。ギャラリーの拍手を浴び、両目をおさえ、うつむきがちに18番グリーンを後にした。クラブハウス前でプロテスト同期の内田ことこに抱きしめられ、肩に顔を埋めて泣き続けた。
「悔しかったというより、相手がうまかったので。“これ(バーディパット)を入れられたら仕方ない”という気持ちでしたし…」。涙をこらえたわけじゃない。自然と笑顔で勝者をたたえていた。
「悔しいですけど、持っているものはすべて出しきりました」。プロ3年目の初優勝を目指した最終日。「朝から緊張より、優勝争いをしていることが楽しくて、ワクワクしていました」
首位タイだった4人の中で、1人だけ最終組の1組前で櫻井、永井花奈と回った。前半に2バーディ。インも12番でボギーが先行したが、バウンスバックから連続バーディ。直後の15番をボギーにしても、またバウンスバック。アグレッシブなプレーで優勝争いを引っ張り続け、櫻井とともにトップでホールアウトした。
18番パー4を使ったプレーオフの2ホール目。フェアウェイから残り106yd、フォローの中、52度のウェッジショットはピン前6m。「うまく風に乗せられなかった」。バーディパットはショートした。「打ちきれませんでした。メンタルが弱いです」。敗因を、そうきっぱりと口にした。
大会期間中、ドライバーの調子が今ひとつと言い続けながら、プレーオフまで戦った。確かな底力を見せた。成長の手応えもある。しかし「(4日間)良かったとは思います。でも、優勝しか意味がないので」。笑顔を浮かべ、涙を流し、より強くなって次の優勝争いに挑んでいく。(横浜市旭区/加藤裕一)