双子の妹に続く涙の初V 岩井明愛「ライバルではなく仲間」
◇国内女子◇KKT杯バンテリンレディスオープン 最終日(16日)◇熊本空港CC(熊本県)◇6623yd(パー72)
最後は50㎝ほどのウィニングパットを沈め、岩井明愛が念願のツアー初優勝を遂げた。スタート前からあった緊張がようやくほどけ、双子の妹・千怜の喜ぶ顔を見て感情があふれた。「優勝したのが信じられない。本当にうれしい」と歓喜に浸った。
1打差を追いかけて出た最終日。前のめりになりすぎないよう気を付けながら、心の中で唱え続けた。「ずっと『勝つ』と思ってラウンドしていました」。3打目を左奥のバンカーに入れるピンチを招いた4番(パー5)は必死にパーを拾った。「今年からあまりプレーに入りすぎないように、一点を見つめず周りを見渡して“キョロキョロ”している。きょうだと、バンカーショットの後にも。パットのラインも、見すぎてしまうと、そこしか見えなくなったりするので」。視野を広く保つことが堅実なスコアメークにもつながった。
前半9ホールを終えて首位の申ジエとは3打差。それでも、「諦めない」。10番で125ydを9Iで2mにつけたチャンスを逃さず、がむしゃらに食らいついた結果の逆転劇だった。「今回は自分のプレーに集中できて、(内容も)荒れずにゴルフができたかな」。左サイドに池がある最終18番(パー5)では果敢に2オンを狙い、「(リードしても最後まで)攻める気持ちを持つことはできたと思います」と笑顔で充実感がにじむ。
昨季、妹が先んじて2勝を挙げた。「千怜の優勝を見て自分も、というのは去年からあった。だけど、自分でも勝てるのかなとも思っていた」。双子ともなれば比較されることも少なくない。「“早く勝て”的なことも言われたりしたけど、イヤではなくて、(むしろ)勝ちたい気持ちが強くなった」。一番身近な存在の活躍が、何よりのモチベーションだった。
次戦は21日開幕の「フジサンケイレディス」(静岡・川奈ホテルGC富士コース)。千怜は初Vから2週連続優勝を飾ってみせただけに、「来週もがむしゃらに頑張ります」と力強い。ずっと一緒に過ごしてきた妹は「一番近い存在の、仲間。ライバルではなく、仲間ですね」。プロ3年目の今年は、先に刺激を与える形で走り出した。(熊本県菊陽町/石井操)