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渋野日向子の後輩、須江唯加が3度目プロテスト挑戦「早くツアーに戻る」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2020年度プロテストは、5月の2次を経て6月に最終を迎える。未曽有の事態の中、今回も多くの選手が合格率「3.3%」ともされる狭き門に挑戦している。彼女たちは何を思い、クラブを握ってきたのか? その素顔に迫る。

■初挑戦の最中に2度交通事故で「お祓いに行きました」

21歳の須江唯加は、自他ともに認める「超負けず嫌い」だ。特に自分の成績が上がらない中、周囲の選手が結果を残すと、素直に「おめでとう」が言えなくなる。岡山作陽高の1学年先輩、渋野日向子に対してもそうだった。

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「渋野さんとは小学生の頃から仲良くしていました。ただ、19年のサロンパスカップでは、私が予選落ちで渋野さんがツアー初優勝。めちゃくちゃ悔しかったのですが、その後に渋野さんは全英女子オープン優勝。私は『すごい』と思いながら、いまだ『おめでとうございます』が言えていません。小中学校の時は、自分の方が強かったのもあって、どうしても悔しくて…」

言葉通り、中1で12年「中国ジュニア選手権」を制した(中2の渋野は同大会9位)。層が厚い岡山作陽高に入ってからは、2年まで団体戦のメンバーには入れなかったが、3年で主力になり、「同じ代では自分が一番うまい」と思いながらプレーしていたという。

「すぐにプロになって稼ぎたい」。その思いで同志社大への推薦入学の話も断り、卒業後に18年度プロテストを受験した。しかし、1次を通過後、車を運転中に交通事故を起こし、右手甲を骨折してしまった。「2次まで残り1カ月と少しで泣きに泣きました。結局、残り1週間で無理やり練習を再開して、母の運転で2次の会場に向かいました。でも、その途中に、後から来た車に追突されまして…。ケガはなくそのまま受験はしましたが、ゴルフにならずに不合格。終わった後は、お祓(はら)いに行きました(笑)」

それでも、同年のQT(ツアー予選会)は最終まで進んで61位。19年はステップアップツアーを主戦場にすることになった。「不思議なことに1次から3次までは、全てカットライン上での通過でした。お祓いが効いたのかもしれませんね」

■QT最終61位で試合出場も、突きつけられた厳しい現実

だが、現実は厳しかった。ステップアップツアーでの予選通過は3試合のみで、ツアーでは出場全3試合で予選落ちした。「1年間かけて社会見学をした感じで、テレビやネットで伝えられる場に何が起きているかが分かりました」。そして、19年度テスト不合格。規則改正で20年度からは原則としてJLPGA会員でなければ、QTを受けられなくなったことで、一転して“ツアー難民”になった。この状況を打破するには、テスト合格しかなく、須江は自身の課題「飛距離アップ」に本格的に取り組み始めた。

「まず、下半身強化でサンドバックを蹴るトレーニングを取り入れました。右足、左足と同じ回数で。この腰の動きがスイングに通じるところがあって、すごく効果を感じていますし、ネットニュースで稲見萌寧ちゃんもやっていると知って、『間違っていなかった』と安心しました」

練習拠点はジュニア、高校時代と変わらず、地元の緑ヶ丘ゴルフ練習場。経営者の田渕潔社長は、岡山作陽高ゴルフ部の監督で、須江は今も頼りにしている。「球筋をドローからパワーフェードに変えることを決めて、指導を受けました。おかげでチーピンが消えましたし、トレーニングの効果も含めてドライバー飛距離は約20yd伸びました。とても感謝していますし、早くテストに受かって恩返しがしたいです」

昨年3月に設立された「DSPE」(女子ゴルファーを支援する団体)にも名を連ね、高校時代の先輩、ジュニアから知る同期生らと月例競技会で顔を合わせている。真剣にゴルフのことを語る仲間もできて、「学校、部活のようです」と表現する。昨年はテレビマッチにも出演し、「ゴルフサバイバル(9月の陣)」(BS日テレ)で優勝。知名度が上がり、「何もなかった20年で救われた出来事でした」と振り返る。

もっとも、最大の目標は「早くツアーの場に戻ること」だ。2次でエントリーした岡山会場(山陽GC)は、自宅から車で約1時間の「慣れ親しんだコース」。地の利も生かし、「負けず嫌い」の本領を発揮する。

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