久々にギャラリーを引き連れて

◇国内女子◇ダイキンオーキッドレディス 最終日（7日）◇琉球GC（沖縄県）◇6561yd（パー72）

ゴルフの国内ツアーは2021年初戦の「ダイキンオーキッドレディス」で、1年3カ月ぶりに観客を動員した。1日1000人の上限を設ける中、大会4日間で計3423人のギャラリーが来場した。

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新型コロナウイルスの感染対策を徹底した大会は大きな混乱なく、閉幕した。一方で、今後予定される37試合のうち、すでに4戦で無観客開催が決まっている。現時点で、観客を入れると決めた試合はない。

大会を主催するダイキン工業の井上礼之会長は「2月24日に有観客でやろうと決めた」と語り、観客動員の最終決断は開幕の8日前だったと明かした。国内の1日当たりの新規感染者数が2000人を超えた昨年11月には、経団連首脳ら財界の有力者が集う恒例のプロアマ戦の中止を決定。今年1月7日、1都3県に2度目の緊急事態宣言が発令されると「無観客での開催を判断しかけた」と吐露した。

ただ、その後も「観客を入れる可能性」を追い続け、従来は本土から船便で搬送していたギャラリースタンドなどの部材を沖縄県内での調達に変更した。2月に入り、プロ野球やJリーグ、Bリーグなどが有観客で新シーズンを行う方針が報道されたことが背中を押した。

「密になる度合いが増えれば増えるほど、(感染リスクが)ガーっとくる」（小林浩美・日本女子プロゴルフ協会会長）ため、対策に手抜かりがないよう検討。ギャラリーが立ち入れるエリアには100カ所以上に消毒液を設置したほか、密集が予想される練習場前の通路には真ん中にロープを張って、ギャラリーが一方通行で歩くようにする工夫を施した。

沖縄出身の新垣比菜は地元の声援を受けた（写真は3日目）

また、クラスターが発生した場合に備えてチケットの半券に名前を書いてもらい、購入者の情報と照らし合わせることで追跡できるようにした。

久々に観客を前にし、選手らは緊張感を漂わせた。渋野日向子は「やっぱりお客さんがいるところじゃないと、本領を発揮できないのかなって思いました」と感謝した。地元出身の新垣比菜がバーディを奪うと、拍手に加えて指笛が鳴り響く沖縄ならではの光景も“復活”した。

観客らの声援とともに1番ホールから出ていく選手を見送った小林会長は「『ああ、いつもの風景だ』と震えました」と振り返った。感染リスクへの懸念は払しょくできないとしつつ「これで(有観客開催を)『やれる』と思いました」とも語った。

観客を入れるかどうかは、全国や開催地の感染状況、対策の可否に影響を及ぼすコースや施設の作りなどを考慮しながら、主催者や協会が大会ごとに判断することになる。コロナ禍での模索は続いていく。(沖縄県南城市／石井操)