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亡き恩師が遺した言葉 田邉美莉がツアープロを目指すワケ

新型コロナウイルスのため延期された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2020年度プロテストは今年3月、1次が5会場でスタートする。未曽有の事態の中、多くの選手が「合格率3.3%」ともされる狭き門に挑む。彼女たちは何を思い、クラブを握ってきたのか? その素顔に迫る。

■「ゴルフ、頑張れよ」

日大ゴルフ部出身の24歳、田邉美莉には、大学卒業後からでもプロテストに挑戦する理由がある。「他界した高校時代の監督が遺してくれた言葉があるからです」。小平智らを輩出した駒場学園高時代、伊藤義男監督に指導を受けた。優しさの中に厳しさがある“昭和の男”だったという。「元気いっぱいの監督でした。でも(大学1年だった)ある日、ガンで入院していて『危ない状態』と聞いてお見舞いに行きました。病室に入ると、私に気づいて目を開けくれました。反応を見せたのは数日ぶりだったようですが、懸命に口を動かして『ゴルフ、頑張れよ』と…」

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小2でゴルフを始めたが、中学時代はバスケットボール部。高校入学時に「バスケはセンスがない」と思い、消去法でゴルフに専念した。「ゴルフは高校まで」と思っていたが、東京都中学高校ゴルフ選手権優勝などの実積が評価されて推薦入学で日大へ。「4年間はしっかりやろう」と思い直した。

「1年ではレギュラーになれませんでした。そんな中、伊藤監督が言葉を遺してくれました。監督が情熱を持って指導をしてくれたゴルフを、生半可にやってはいけないと思いました。2年でレギュラーになり、3年の時に団体で全国優勝しました。そして、もっと頑張りたいと思い、プロになる決意をしました。ただ、3回続けてダメだったら、その時点でやりたい職に就こうと思いました」

■規定変更にコロナ禍

それまではプロテストに合格しなくても、QT(予選会)の結果でツアーに出場できたが、卒業後の2019年から規定変更。テストに合格するなどして日本女子プロゴルフ協会の会員にならなければ出場できなくなった。初受験となった同年の1次を7位通過、2次は36位で「20位タイ」の通過ラインに届かなかった。「緊張しないタイプなのに、最終日には目に入っていなかったOB杭や池、ラフが気になったんです。結果はダメでしたが、その後の成長につながる経験でした」

2020年はコロナ禍のため、プロテストは延期となった。「ショックでしたが、『成長するための時間ができた』と、とらえました。トレーナーさんと良いトレーニングができ始め、シャフトも替えてドライバー飛距離が230ydから250ydに。自分で上達を感じています」。自己分析は「プラス思考」。ツアーは20歳前後の強者が席けんしているが、焦りはないという。「プロを目指したタイミングが違いますから。彼女たちを見て『別格だな』と感じることもありますが、『いつか追いつこう』という思いはあります」

昨年2月、ツアープロを目指す選手支援を目的に発足した団体「DSPE」のメンバーになることが決まり、3月からの月例会のほか、BSフジ「激芯ゴルフ」やBS日テレ「ゴルフサバイバル」といったテレビ番組に出演し、自身への大きなプラスになっているという。「行く先々で『頑張って』と声をかけられますし、出演料も助かっています。月例会では『この子たちに勝たないとテストに受からない』と思い、優勝を目指しています」

考えに芯があり、厳しい状況下でも「今までで一番、ゴルフが楽しい」と話す。「3回」と決めていたテスト挑戦についても、「『まだいける』と感じたら、考え直すかも」と言った。亡き恩師の言葉をきっかけに道を決めた24歳は、今年も真っすぐな思いで難関に挑む。

◆DSPE(Dead Solid Perfect Entertainment)
2020年3月、ツアーでの活躍を目指す女子ゴルファー30人を支援するプロジェクトとしてスタート。2020年からプロテスト未合格者は、レギュラーツアー、ステップアップツアーに出場できなくなった状況下、テスト合格を目指す選手たちに、月例競技会(年12試合)を実施している。練習に打ち込むメンバーの模様は、DSPE公式サイトなどで発信している。

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