首位と6打差発進の渋野日向子 「全英女子以来の感覚」で見せた笑顔
◇国内女子◇デサントレディース東海クラシック 初日(20日)◇新南愛知CC美浜コース (愛知)◇6446yd(パー72)
3アンダーの8位で初日を終えた渋野日向子は、開口一番「久しぶりにいい気分で、本当に楽しくできた。久々に自分らしいゴルフができたと思う」と笑顔で18ホールを振り返った。5バーディ2ボギーの「69」。首位とは6打差だが、持ち味の「自分らしい」攻めのゴルフを貫けた充実感があった。
この日は原英莉花、新垣比菜と同年代3人の組み合わせ。「それもあって、楽しく回れたと思う」と、序盤から“らしさ”は発揮された。練習ラウンドでは、4ホールあるパー5でいずれも刻みを優先していたが、「きょうはドライバーが飛んでいた」と3ホールで果敢に2オン狙い。後半12番では247ydから3Wで、15番では215ydから5Wでグリーンを捕らえ、2パットのバーディを奪った。
グリーン上でも8月の海外メジャー「AIG全英女子オープン」のウィニングパットを思い起こさせる強気のパットでカップを攻め続けた。14番では8mのファーストパットを2mほどオーバーさせたが、返しをしっかり沈めてパーセーブ。17番では逆に7mから1mショートさせて3パットボギーを喫し、顔をゆがめるシーンもあったが、「それも含めて自分らしさ」と笑い飛ばせる心の余裕があった。
重ねて口にした“久しぶりの楽しさ”や“久々の自分らしさ”。いつ以来の感覚だろう? 渋野は「全英と同じくらい、と言ってもおかしくはないですね」と、日本人女子42年ぶりのメジャー優勝を果たした大会の名を挙げた。
同大会で渋野は、最終日まで攻めのゴルフに徹し続けた。1オン可能な池越えの後半12番では1Wで辛くもグリーンに届かせ、逆転につなげるバーディを奪取。ギリギリの攻防の中で見せた、場違いとも思えるほどの楽しそうな笑顔でゴルフファンを魅了し、一躍世界に名を轟かせたのだった。
前週の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で、更新中だった連続オーバーパーなしラウンドのツアー記録が「29」で途切れ、重圧から解放されたこともある。メディア疲れもあってか、最近はやや硬い表情が目立っていた。「表情にすぐ出るんで…すみません」。プレーで自分らしさを取り戻した手応えは何よりの特効薬。等身大の渋野はこの日、よく笑った。(愛知県美浜町/塚田達也)