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プレーヤーズラウンジ

<正義の味方!! 谷口徹の生き様>

大地震の第一報を聞いたのは、被災地から遠く離れた宮崎県は、フェニックスカントリークラブだった。谷口を“師匠”と慕う、松村道央をはじめ、若手選手らとこのオフ、もう何度目かの合宿ラウンド中だった。宮崎ではまったく揺れを感じなかったため、それがどれほどの被害であったかを、すぐに把握することは出来なかったが海沿いに横たわるコースでも、津波警報発令のサインが鳴り響いた。

やがてコースのスタッフが、カートで駆けつけ「宮崎も2メートル前後の津波が来るかもしれない。避難を」と呼びかけられても「たかだか2メートルで?!」と、みなタカをくくっていたという。

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しかしプレーを終えて、宿のテレビで衝撃的な映像を見るにつけて、津波の本当の恐怖が谷口の背中にも、這い上がってきた。これが現実なのかと目を疑った。

そのあと、大阪の自宅に戻ってからの谷口の行動は早かった。まっすぐ机のパソコンに向かい、「義援金の送り方」を検索。その中から日本赤十字社の義援金口座を見つけ、さっそく振り込んだという。

毎年、獲得賞金の一部を自身の地元・奈良県の児童福祉施設に寄贈してきた。日頃からそんな心がけはあったがその都度、事務処理はツアーを統括する日本ゴルフツアー機構のスタッフに問い合わせるなどしてきたから、いざ自らお金を振り込んで・・・という行為に多少とまどいもあったそうだが、「意外と簡単でした」と、谷口。

さらにその1週間後には、これも毎年オフの恒例としてきた奈良県の児童養護施設を訪問。震災直後の混乱の中とあって、たとえ被災地から遠く離れた地域でも、各イベントの中止が相次いでおりスタッフも一応、延期するかどうかを打診してみたのだが、本人には微塵の迷いもなかった。3月23日には予定どおりに「子供たちが待っている」と、自宅の大阪から愛車を飛ばして駆けつけた。その間、谷口の表情からは一度も笑顔が消えることはなかった。

「テレビで拝見する限り、もっと怖い方だと思っていました」と遠慮がちに、なおかつそこに最大級の称賛を込めて感想を述べられたのは、施設の理事長先生だ。
「あはは、よく言われます」と、それすらも笑顔で受けた谷口は、「試合の前日にはアマチュアの方とラウンドする日(プロアマトーナメント)があるのですが、そのたびに“こんなに楽しいプロだとは思わなかった”と。僕は試合になると、豹変するみたいです。怖い顔になる。だから普段の僕に会うと、みなさんそのギャップに驚かれるみたいなんですよ」。

試合では真剣勝負。また間違ったこと、筋の通らないことが大嫌いで、時には誤解も恐れず、歯に衣着せぬ物言いで抗議の声を上げる。

でもいちど戦いの場を出ると二児の子煩悩な父親の顔を持つ。今回の大震災でも谷口が一番に心を痛めたのは、親を失った大勢の子供たちのことだった。きっとシーズンが明けてからも、そのことが谷口の心から消えることはないだろう。そしてなおいっそうコースでは、真剣勝負に徹するだろう。たくさんの子供たちを、笑顔にしたい一心で。弱きを助け、強きをくじく。子供たちと無邪気にたわむれる谷口の姿を見ていたら、そんな言葉がふと浮かんだ。

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