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<実は若手を育てる名コーチ!? 谷口徹>

ゴルフは個人競技だが、良き仲間、ライバルに恵まれるか否かで、結果や成長の度合いは大きく違ってくる。特に40歳を過ぎると顕著で、先だっては当コーナーでも、藤田寛之と“チーム芹澤”の師弟愛をご紹介させていただいたが今回はやはり、藤田に居並ぶ“アラフォーの星”といってもいい、谷口徹の「巻」である。

本人は特に師匠と呼ぶ人は持たず、コーチもつけない。ことさら誰かと群れることもない。もともと“一匹狼”とも言われる選手はしかし、彼は40歳を境にあえて自分よりひとまわり以上の下の選手たちに、声をかけて回ったのである。

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なんといっても、これまで2度の賞金王はもちろん、後輩を手下にしたり、ちやほやされたいがためではない。40代にさしかかってなお、ますます自分のモチベーションを上げるためである。だから声をかける相手は常に、自身が持っていないもの、持ちたくても持てないものを、持っている選手だ。

たとえば飛距離。しかも、ただやみくもに飛ばすわけではなく、バツグンの正確性と安定感を兼ね備えていると、もっぱら評判の若手選手。昨オフ、谷口が白羽の矢を立てた一人がプロ11年目の27歳、松村道央だった。「・・・まあ、彼が僕に勝てるのは、飛距離しかないですけれど」との谷口の憎まれ口は、いつものリップサービスであり、また何よりそこに「一目置いているぞ」という気持ちの裏返しでもある。

「僕が彼から盗みたいところはひとつもないですから」と得意の“毒舌”はあいかわらず、「でも飛距離では1ヤードでも松村に追いつきたいと思う。彼から刺激を受けることで、僕の体も気持ちも若返る。そういう選手しか、僕は声をかけない」とは、最高の賛辞でもある。こんなふうに歴代の賞金王から言われたら、若手のほうだって刺激を受けないわけがない。

昨オフ、谷口主催の宮崎合宿に参加した松村は、確かに飛距離では谷口より優位に立てたかもしれないが、アイアンの精度や小技、また練習ラウンドながら、本番さながらの驚異の集中力にこてんぱんにやられた。

このときの悔しさが、何よりの薬となった。やる気に火をつけられた松村は昨シーズン10月の「コカ・コーラ東海クラシック」で念願のツアー初優勝を挙げたばかりか、翌11月の「カシオワールドオープン」で早速2勝目を達成し、なんと賞金ランキングでも接戦の末に5位につけ、谷口は続く6位と負かしてしまったのである。そしてそのことが、今度は谷口の心に火をつけている。今年は、趣味(?)の育児も控えめにして、「賞金王を狙う」と、さっそく公言している。切磋琢磨で互いを高め合う。まさに理想的な師弟関係が、築かれつつある。

確かに賞金ランキングで勝ちはしたが、「谷口さんの100ヤード位内のアプローチと精神力、集中力は世界NO.1」とべた褒めし、「師匠に見習いたい」と、あいかわらず尊敬のまなざしの松村だが谷口のほうは、「別にあいつを弟子とは思ってない」とちょっぴりつれない。「弟子というより扶養家族」と冗談交じりに明かし、「だって彼は僕より稼いでいるはずなのに、ちっとも僕にご馳走してくれないんです。むしろ“生涯獲得では谷口さんのほうが上”とか言って、僕に奢らせてばかり」と、苦笑するのである。

その言葉どおり、このオフも3月4日からスタートする恒例の宮崎合宿は、“主催・谷口徹”と言って良く、期間中の食事代はすべて、谷口が持つという。コースではもっぱら強面で知られるが、実は気風(きっぷ)が良くて、非常に面倒見の良い選手はそうやってどんどん後輩に貸しを作っておいて、「いつか、僕が稼げなくなったら奢ってもらおう」という算段だ。

「あ・・・、でもそのころにまだ、彼がツアーにいたらの話ですけど。そのためにも頑張ってもらわんとね」。果たしてそれもこれも、すべては故意なのか、それとも天然か。そんなふうに言われれば、松村は今年もまた発奮することは必至で、つくづく後輩を“その気”にさせるのが上手い選手である。

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