星野陸也「やってもたぶん優勝」描き続ける成長曲線
◇国内男子◇ダンロップ・スリクソン福島オープン 最終日(30日)◇グランディ那須白河ゴルフクラブ (福島)◇6961yd(パー72)
期待の若手が自ら立てた目標に向かって成長曲線を描き続けている。悪天候のコースコンディション不良で最終ラウンドが中止となり、前日通算20アンダー首位とした23歳の星野陸也が今季初優勝を手にした。昨年「フジサンケイクラシック」に続くツアー通算2勝目。短縮競技で賞金(優勝賞金1000万円)加算は75%だが、前半戦1勝の課題をクリアした。
午前10時40分。雨の湿ったにおいが漂うコースに中止決定のアナウンスが流れる。「前日までは当然やると思っていた。本当は最終日もやりたかった。ただ勝ちは勝ちです。やっていても、たぶん優勝できましたよ」。星野はいつも通りの笑顔でそう豪語すると、すぐに「優勝した後だから、なんでも言えますよね」。表情を緩めて軌道修正したが、3日間の内容には確かな手ごたえがあった。
体が確実に変化している。体重は過去最高の78kg。昨年は4月の国内開幕戦から数カ月で6kg落としたが、その反省を生かして今年は食事量を増やしている。「これまで、試合中は1日2食が多かった」。昼前のティオフ時は朝食を摂ってからラウンドし、その後の食事は夜だけだったという。だが、「いまは午後3時過ぎに終わっても昼食をしっかり食べるようにしている。ラウンド中もゼリーなどを食べるようになった」。トレーニングと連動させ、長丁場で使える体作りをしてきた。
変化は数字にも表れている。用具使用契約を結ぶ住友ゴム工業の冠大会。馴染みのあるメーカースタッフが普段以上に駆け付けた25日(火)は会場の練習場で過ごした。3時間かけて行ったのは、アイアン全番手の距離の測定だった。「なんか飛ぶような感じがしていた。その都度メモは残すんですけど、一度しっかり測りたかった」。平均5~10ydの伸びを確かめたかいあって「今週は距離感が合った」。松山英樹や石川遼ら、名だたる先輩が達成した23歳までの複数回優勝につながった。
優勝後に51歳の谷口徹に祝福され、表彰式のスピーチについて「これは言ったらアカンぞ」、「こう話せよ」といじられながら指導されると、恐縮そうにはにかんだ。昨季はツアー初優勝と海外メジャー出場という目標を達成した。まず前半戦1勝を果たした今季、残るは日本初開催の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24日~/千葉県・習志野カントリークラブ)の出場、初の賞金王に狙いを定める。
「2勝目は想定よりも早かったというのが本音。目標を立てて取り組んでいると、これほど上手くいくのかと思う」。愛されながら期待される逸材が、新たなステップを踏んだ。(福島県西郷村/林洋平)