「勘違いしたくない」マイナス思考の岩田寛が4位
◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 3日目(20日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7081yd(パー71)
22位から出た岩田寛が通算8アンダー4位タイに浮上した。手に残る好感触はなかったが、2015年「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」以来となるツアー通算3勝目へ、首位に2打差と迫った。
「67」のうち、イメージ通りの打球はひとつもなかった。「スコアでは自信にならない。むしろ、へこみます」。4バーディ、ボギーなしで回りながら、言い切る。前日終盤17番(パー5)、206ydの2打目、5Iでフェードを打った。向かい風に邪魔されグリーン手前30ydに落ちたが、「いまの、良かった」。10年以上組む新岡隆三郎キャディに珍しくつぶやくほど、貴い一打が出た。
「それだけです。良かったの…」。マイナス思考の超完璧主義者は「勘違いしたくないんです。僕、調子に乗りやすいから」と自身の性格を説明する。「海外にいたとき、あんまり成績を残していない選手が『俺は、あとここだけ上手くなれれば、勝てる』と言っているのをよく見た。うらやましい性格。でも、僕がそうなったら、自分の何かが、崩れる気がして」。
何度ボヤいても、ラウンド後の居残り練習は日課だ。17年に出場権を失った米ツアーへの再挑戦を、胸に秘めながら。「行かないと見えないものがある」。日本にはない多様なコース、怪物のような飛ばし屋、毎週芝種が違いアプローチは多くの打ち方が必要だった。海を渡ったからこそ、知ることができた“リアルな差”がある。「めちゃくちゃつらかった。でもいま思えば、楽しかった。正直、これからもっと、日本ツアーと米ツアーの差は、広がるように感じるんです」。
東北福祉大学の先輩・谷原秀人や同学年の宮里優作は欧州ツアーで、後輩・松山英樹は米ツアーで戦っている。岩田は、ゴルフへのモチベーションを「ほとんど、それ(海外再挑戦)ですよ」と表現した。
「日本でまず1勝したい。練習場でも(理想の一打は)出ないし、だから練習もしたくない。でも、するしかない」。独特な言い回しをする38歳が追い続ける夢は、シンプルだ。(三重県桑名市/林洋平)