先輩の言葉が身に染みる 岩田寛の“脱・引きこもり”
次週から米国ツアーの来季出場権をかけた下部ウェブドットコムツアーの入れ替え戦(全4試合)に臨む岩田寛が、9月1日に開幕する国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」に出場する。
2週間前に終了した米国ツアー1年目はショットの不振が続き、来季シード権を逃して失意の帰国。自身にとっての今季初戦となった前週の国内ツアー「RIZAP KBCオーガスタ」も予選落ちに終わり、ショットの迷走は今も続いている。
「アメリカの最後の方は、ずっと引きこもっていた」。ほとんどが初コースでの大会出場だったはずだが、事前ラウンドの量が目に見えて減少し、ラウンド後の練習も「したくなかった」と足早に宿舎へと戻る日々を送っていた。悩みが悩みを呼ぶ悪循環から抜け出せず、周囲も心配するほどの状態だった。
そんな迷い、傷ついた心も、帰国してからは、進んで助言をくれる国内ツアーの先輩たちにより癒され、徐々に前を向く力を取り戻しつつあるという。
今大会は一昨年にツアー初優勝を果たしたゲンのいい試合。開幕前日の31日は、プロアマ戦にお声がかからなかったが、午後2時半すぎからイン9ホールの練習ラウンドを敢行し、その後も薄暮の練習グリーンで最後の調整。グリーンを降りたのは、ほかの選手もほとんどいなくなった午後6時ごろだった。
この日は練習中の岩田のもとへ、自身も米国ツアーへの挑戦経験がある久保谷健一が歩み寄ってきた。「あんたはツアーで一番パットがうまいんだから。ショットが悪いならパットでいけばいいんだ。そこからショットが良くなることもある」。岩田は笑顔を浮かべて即答した。「ごちそうさまです。それでいってみます!」。
「ふとしたことで、今みたいな感じになっていると思う。ちょっとしたことが見つかればいいと思っています」。気にかけてくれる先輩たちのありがたい助言を心にとどめながら、相性の悪くない難関・富士桜で光明を探る。(山梨県富士河口湖町/塚田達也)