12位発進の石川遼「もっともっと練習していい」
「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」が3日(木)、北海道のザ・ノースカントリーゴルフクラブで開幕。5月の「中日クラウンズ」以来となる国内ツアー出場となった石川遼は3バーディ、1ボギーの「69」(パー71)をマークし、2アンダーの12位タイでスタートしたが、山積するショットへの課題を口にし続けた。
単独首位のデビッド・オー(米国)とは4打差での滑り出し。しかし前半インでアンダーパーをマークしながら、アウトは9ホールをすべてパーという尻すぼみの内容。そして、後半のスコア以上に募るショットへの苛立ちが、ラウンド後の石川を即座に練習場へと向かわせた。
出だしの10番で、ドライバーでの第1打を右に大きく曲げ、池ポチャからのボギー発進とするなど、ティショットが荒れた。フェアウェイを捕えたのはパー3を除く14ホールで6ホールだけ。1メートル以上のパーパットをしぶとく沈め続け、なんとかスコアをまとめて「週末に優勝争いをするためには悪くないスタート」としたが、一時帰国中の現在は北海道内での集中合宿の真っただ中。「試合と練習場、プライベートラウンドとの調整も課題。練習場でできることが、試合でできない」。頭は結果よりも、内容の充実を強く求めている。
この日のショットのうち、石川が最も納得したというのが前半17番での第2打。フェアウェイから残り117ヤードは、風を含め121ヤードを計算した。ちょうどロフト角51度と59度という2本のウェッジで想定する間の距離だった。「今回の合宿では、8番と9番の間だったり、番手間の距離を徹底的に練習している」。
1~2ヤード刻みでの精度は、距離感を体全体に染み込ませ、試合中に頭に数字をインプットしさえすれば、無意識に体が動くことを理想にしている。決して“クラブの振り幅”といった曖昧な計算ではないという。合宿所では、目印にコーンを何本も立てて練習中。そしてこのホール、51度のアプローチウェッジでのショットはピンそば2メートル弱につき「自信を持って打てたベストショット」でバーディを決めた。
2012年「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来の勝利を当然狙う存在だが、目指すものはそれだけではない。あくまで米ツアー初制覇に向けた、よりレベルの高いショットを掴むためには、犠牲も払う覚悟だ。「今日、完璧なショットしか打たなかったら、残りの合宿では何をすればいいのか…となりますから。思い通りのショットができないことは、ある意味で安心。もっともっと練習していいんだと思える」と、どこか清々しい顔で、夕闇のコースを去った。(北海道千歳市/桂川洋一)